『図書館の大魔術師』第6巻!
図書館の大魔術師【6巻】あらすじ
主人公たちの立ち位置とかはほとんど動かない。人間関係の変化はあるが、相変わらず見習い時代が続いている。エピソードとして一番重要なのは、前の巻で主人公シオに対して差別的な言葉を投げつけた少女メディナに関する一連の話である。
図書館の大魔術師【6巻】ネタバレ
全体的にノリが軽く、緩急でいえば緩にあたるのがこの6巻なのだろうと思う。しかし、そうなのだが……扱うテーマはやっぱり重い。ざっくり言うと「宗教」「差別」そして「裏口入学」である。
メディナという少女、外見は美しいのだが、大貴族の家の、その家の主人が身分の低い女に手を付けて産ませた娘なのであるそうだ。学力はあるのだが、司書試験にパスできるほどの能力はなかった。そして何より人間性に問題があるので不合格になるところだった。
しかし、父親が財力にものを言わせて合格させてしまったらしいのである。実は司書の世界にもそういう裏の台所事情というのがあるのだそうだ。あったのだ。それが今巻で初めて明らかになった。
さて、メディナは性格が悪い上に能力も低いので(司書の中では、という意味。絶対値でいえば多分とて有能)、落ちこぼれている。司書なんかやめてやる、と言って暴れて本棚を荒らしたりする。何に落ち込んでるって、うっかり「自分が裏口入学であること」を知ってしまったのである(本人にはそれまで知らされていなかった)。
で、ひとしきり暴れたあと、「もうこんなところは出て行く」と言い出し、シオに止められる。その際、今度はシオの家族を侮辱することを口走り、シオをついにキレさせる。「次言ったら殴る」というのがシオの言である。かつて見た事のない厳しい顔をしている。
さて、なんだかんだで心を入れ替えたメディナ、真面目に勉学に取り組むようになる。宗教の違いとか、埋めがたい溝もあるのだが、なんとか分かり合うことができたらしい。分かり合うべき範囲において。
細かいエピソードはいろいろあるのだが、次に大きいのは、表紙に書かれているソフィというキャラクターに関するもの。新米たちの中では圧倒的に年上で、しかも何か隠し事をやたらとしているので、「実は教員側から送り込まれたスパイである」とかなんとか、いろんな噂が立ち、みんなが嗅ぎまわったりする。で、発覚する。「実はこっそり隠れて小説を書いていた」ということが。
だからなんなんだという話であるが、それを読んだシオが感心する。すごい小説だ、と言って。実は、小説を書いている、という話も欺瞞工作である。嘘ではないが、もっと奥の真実がある。実は彼女は、広く世に名を知られた売れっ子作家だったのである。それが何で司書なんかやり始めたのか、ということについてまでは説明がないのだが。
図書館の大魔術師【6巻】感想
前にも書いたと思うが、この作品は本当に期待値が筆者の中で高くて、読み始める前にドキドキする。ワクワクしてドキドキするのではなく、「こんなに期待しているのに最新刊ではガッカリの出来になっていたらどうしよう、怖い、不安だ」というドキドキを感じるのである。
だが今巻もその不安は無事に払拭された。難しい、非常に扱いにくいテーマを扱いながら、エンターテイメントとしての一線は外さないその技巧たるや、本当に卓越していると言うほかない。
ただ、これも前にも書いたかもしれないが、と同時に非常にたくさんの伏線がどんどん散りばめられて行っている感じで、いったい最終的に(無事に作者の構想通りに進んでいったとして)何十巻の超大作になるのだろうか。いやぁ、本当に、この先が楽しみでならない。
図書館の大魔術師
アムンという小さな村に暮らす耳長の少年は本が大好きであったが、耳長で貧乏だった為、村の図書館を使うことができなかった。そんな少年は差別が存在しない本の都・アフツァックに行くことを夢見る。ある日、少年は憧れのアフツァックの図書館で働く司書(カフナ)と出会う。この司書との出会いが、少年の運命を大きく変えることに──。孤独な少年が未来を切り拓く、異世界ビブリオファンタジー堂々開幕!!
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