祈りながら震えながら人を撃つ殺し屋の物語「TISTA」、完結の2巻である。
TISTA【2巻あらすじ】
2巻を読み始める前は「警察の追跡からティスタがいかに逃れるか」の話になるかと思っていたのだが、その読みは外れた。
簡単に説明すると、精神的にいろいろあったティスタは殺し屋として使い物にならなくなり、組織からお役御免にされてしまう。その後、組織と対立し、自分の跡を継いだ新たな殺し屋と対決することになる。
しかし、そこに横から警察(FBI含む)が介入してきて……。といった感じだ。
TISTA【2巻ネタバレ】
さて、アーティーのところにたどり着いたスノウ(スノウ・ワイトハート。27歳)であるが、何しろ凄腕の捜査官であるので、巧妙な質問でアーティーから情報を引き出していく。結果として、アーティーが「おそらく高い確率で、殺し屋シスターミリティアとなにがしか繋がっている」という確信を得るに至る。
そして、ほかにもいろいろと調査をして回るのだが、不審なことがひとつ生じる。殺しの現場で犯人の女(というかティスタ)の姿を見た人間たちが、その事実を「忘れて」しまうのである。どうも、ティスタのいる組織というのはなにがしか超常の力を行使するなにかを持っており、それで人の記憶を消したりできるらしいのだ。
スノウの捜査はまだ続く。「ティスタ・ロウン」という名前を洗っていくと、ニューヨークじゅうで同姓同名が5人いるのだが、全員高齢であり顔も似顔絵と一致しない。どこのデータベースにも、アーティーが探しているティスタに関するデータはない。どうも、これも組織がデータを消して回っているらしい。しみじみ底の知れない組織である。だが逆に、情報が消されているという事実そのものが「重要な情報」として意味を持ってしまうわけである。
さて、そんなこんなしている間に、まあいろいろ仕事はしていたのだが、トラブルも多くなってティスタは組織の「修道騎士位階を剥奪」されてしまう。要するに除名である。殺されはしないが、なんか監禁もされる。
そこから、回想シーンがいろいろ入る。そもそも、ティスタの素性は孤児である。本名ティスタ・ロックウォール。両親は、よくわからないが事件に巻き込まれて殺されてしまったようだ。で、孤児院行き。そこで友達ができた。その友達の女の子スージーも、虐待を受けている子供であった。歌が上手で歌手になるのが夢だったのだが、親に引き取られていったあとで親に虐待で喉を潰され、歌えなくなる。
この事件が、ティスタが殺し屋になった直接の切っ掛けである。ティスタはスージーの父親を殺した。そして、殺し屋として教育を受けるようになったのである。
さて、監禁されていたティスタであるが、最後のチャンスとして新しい任務を与えられる。これに成功すれば、修道騎士として復帰させてやる、というのだ。それはいいが、暗殺のターゲットはアーティーであった。
ティスタはアーティーに銃口を向けるところまではやるが、結局、殺せない。結果として、組織の別の殺し屋と殺し合うことになる。
その殺し合いをやっている最中に、スノウが「FBIだ」と名乗りを上げて割り込んできた。そしてティスタに銃口を向ける。ついに、警察は殺し屋シスターミリティアの正体と居場所に辿り着いたわけである。だが、ティスタのバックアップ役の仲間の人がスノウに銃口を向け、ティスタは殺し屋との対決に向かう。
対決のシーンはそんなに長くない。そしてその場では、どっちがどうなったのか、二人とも死んだのか、わからないまま場面転換して、ときは2年後。
ティスタ・ロウンは逮捕され、120年の刑を宣告された。しかし、アーティーとの面会は許されていた。アーティーと面会室で会い、優しく笑うティスタの姿が描かれ、物語は幕を閉じる。
TISTA【2巻の感想】
とてもよくできた作品だと思う。殺し屋が超人な作品にありがちな、警察が無能な作品じゃあないのがいい。
組織とティスタと警察と、三つ巴の動きを描き切るのも卓越した描写力であると思う。さすがに、のちに立派な賞など取っただけのことはあると思った。そんな感じである。
TISTA
事件が絶えぬ街ニューヨークシティ。この街で“シスターミリティア”と呼ばれる暗殺者がいた。姿を晒さず標的を仕留めるその正体は、悲運な宿命を背負う一人の少女。彼女は銃弾を放つ、贖罪の祈りを捧げながら…。
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