漫画「砂の微笑」は「生贄」を描く長崎さゆり先生の新作漫画。1話完結の短編でヒロインキャラの美しさの裏に潜む悪が覗き見えていく衝撃サスペンスに仕上がっています。
登場人物もシンプル。
メインキャラである詩織。その夫となる悟。彼の母親である丸山先生。そして丸山の同僚達である。
ブ男である悟の婚約者は絶世の美女。鼻も高くなる悟の母、丸山であったが少しずつ彼女の本性に近づいていく。
目次
砂の微笑【ネタバレ】
とある小学校の職員室にて同僚達からご祝儀を頂く丸山先生。訳は一人息子の結婚が決まったからである。丸山の息子である悟は大学の助教授。一見すると引く手数多のハイスペック男性に見えるが…。
実情は母親も心配するほどにブ男であった。悟に結婚できる日が来るなど想像もしていなかったのだ。そのレベルでブサイクな悟。
思い描いた暮らしと違いイライラする母親
悟の婚約者である詩織の様子を伺う丸山。あまりの美しさに同性ながら見惚れていく。お人形のような彼女が我が息子の結婚相手になると思うと鼻が高くなる丸山であった。
結婚式も無事に終わって、ここから息子夫婦とバラ色の人生が待っていると感じていた丸山。しかし、現実はまったく思い描いていた生活とは違った。
息子の結婚から一年。
悟達からほとんど連絡は来ないので自ら連絡をする丸山。対応も淡白であった。
息子夫婦の為に気遣いしたり、奮発して5万円を包むなど尽くしているつもりであった丸山。しかし、嫁である詩織は驚きや喜びも見せずにただ、軽く笑って好意を受け流すだけであった。
そんな彼女に少し腹立たしさを感じていく。次第に彼女の砂のように乾いた笑顔が好きになれなくなっていく。
母親の追求がスタート!?
学校の職員室では詩織に対する不満を同僚に語っていく丸山。
ここで一人の教員がごもっともな疑問をぶつけていく。それは悟と詩織がどうやって知り合ったのかである。悟は32歳。詩織は22歳である。丸山の出会いのきっかけは聞いた事がなかった。
『丸山先生…こんなこと言って気を悪くされないでくださいね…』
『息子さん…もしかしていいように騙されてるんじゃないですか?』
息子の結婚で舞い上がっていた周りが見えていなかった丸山。冷静に他人から意見を聞いて不安が増していく。同僚達の意見を徐々に飛躍していく。二人は夜の街で出会っている可能性が高いと…。
憶測ながら同僚達の言葉で一気に現実を直視するようになる丸山。息子夫婦の自宅を訪れて真相を確かめようとしていく。
家には悟がいた。
彼は部屋の模様替え。詩織はエステへ出掛けていた。それを聞いて呆れていく丸山。同時にやはり息子が詩織に騙されている可能性が高いと考えていく。
意を決して二人の出会いについて踏み込んでいく丸山。
夜の街での出会いを連想させていく丸山。悟は冷めた表情で母親を見つめる。そして自分と詩織を侮辱しているのかと問う。言葉を訂正する丸山。
同時に悟も母親が言わんとしている事をわかっていた。自分のような男に何故、あんな美女が近づいてきたのか。騙されているのではないだろうかと考えている事もわかっていた。
『詩織は違う、僕から目を背けず笑顔をくれた唯一の女性』
そう語ると共に母親の感謝も忘れない悟。しかし、自分と詩織にこれ以上の干渉をするなら許さないと今まで見た事のない冷たい目で言われる丸山。
詩織の深い闇が暴かれていく…!?
丸山は同僚の一人に相談する。
すると興信所で詩織の素性を調べてもらった方が良いと説得される。同僚から言われた通りに興信所を利用して詩織を調べる事にした丸山。
今まで知り得なかった詩織の背景がどんどん明かされていく。
興信所の説明から彼女がお金目当てで悟に近づいた訳ではないと判断していく丸山。そして彼女の旧姓を見た時に身覚えのある名前だったので思い出す。実は詩織は過去に丸山が担任をした生徒だったのだ。
当時を思い出す丸山。
詩織の親友であった少女が非常階段から落ちて死んだ事件を思い出していく。
さらに興信所で調べてもらった彼女の家族背景を見ていくと…とんでもない事実が浮かび上がっていく。彼女と関わりのあった叔母、義母、義父など彼女の周りで死んだ人間に一人も自然死がいなかったのだ。
彼女の周りは死が多い…。
丸山は最終的な結論で詩織は保険金目当てで多くの人間を殺していると推測していく。
すぐに興信所で調査した資料を持って悟と対面していく丸山。
明かされる二人の出会い…!?
悟は母親に打ち明ける。彼女の周りで死人が多い事を。さらに詩織は15歳の時、義父に弄ばれていた事を丸山にカミングアウトしていく。彼女は悪くなく周囲が悪いと伝えていく悟。
母親が詩織に対して良い印象を持っていない事がよくわかった悟。丸山とゆっくり話し合う覚悟を決めていく。
一方、エステで悟から連絡を受ける詩織。彼女は悟の事を「お兄ちゃん」と呼んでいた。担当のエステティシャンに関係性を問われる詩織。回想と共に二人の出会いが明かされていく。
詩織が小学生の時、親友だった子を階段から突き飛ばしていた。死んでしまった友達を見て途方に暮れていると現れたのが悟だったのだ。
『そのまま置いて帰った方がいい、その子とは会ってないって言えばいいんだ』
その日を境に詩織と悟は関係性を持っていく。
そして詩織の周りで起こる事故、死の裏に悟の存在があった事が明かされていく。放火、叔父や叔母の殺害も悟が行っていた。
悟が詩織を知ったのは母親が持っていたクラス写真であった。それを見て詩織に一目惚れしていた悟。何も望まず詩織を守り、下僕でいると彼女にアプローチしていた悟。
同時に詩織にとっても悟は自身の心をうっとりさせてくれる貴重な存在であった。
エステも終わって帰宅してくる詩織。
部屋に喪服がある事に気がついていく。
『母さんがね、あやまって自宅の階段から転落して死んだんだ』
ブ男と魔性女の関係に終止符…!?
煩わしかった悟の母・丸山が死んだ事を聞いて心の中で喜ぶ詩織であった。
葬式に出席する丸山の同僚達。
噂の嫁である詩織を見ると微笑んでいるように見えた。
それが気に食わなかった同僚達。生前、丸山が気にしていた事を思い出していく。詩織が保険金殺人に噛んでいるのではないかと。さらに丸山も生命保険に入っていた事を思い出す同僚。
同僚達は保険会社に投書して詩織を調査して貰う事を頼んでいく。さらに警察へ出向いて過去の事件も不審な点が多い事を伝えることに。
場面は変わって悟と詩織。
二人は夏休みにヨーロッパ旅行に行く予定であった。しかし、悟は行けないかもしれないと伝えていく。
『母さんの保険金が…まだおりないんだ』
詩織は楽観的であった。しかし、悟はどこかで嫌な予感を感じていた。詩織と自宅で夕食を食べる中、二人の住むマンション前には複数台の警察車両が停まっていく。
詩織は悟に伝えていく。
『お兄ちゃんは私を幸せにする義務があるんだから…だってお兄ちゃんは私の下僕だもの』
部屋にインターホンが鳴り響いていく。ここで砂の微笑は結末を向かえて終了。
砂の微笑【感想】
なんとも悍ましく脆い二人の関係が描かれていく作品。美しさと醜さの裏に潜む本性が徐々に暴かれていく衝撃のサスペンス漫画でした。
悟と詩織のような愛の形もあるんだぁ~と思いつつ、自分の母親まで手にかけてしまう悟の狂気に驚きました。
ハッピーな結末にはなりませんが、レディコミのドロドロ系サスペンスが好きな人はマストな作品。是非、チェックしてみてください!以下の電子書籍ストアで取扱いがあります。
砂の微笑
「言うことを聞かない人はいらないわ」器量の悪い一人息子がまさかの結婚!しかも相手は人形のように美しい娘で、私はバラ色の老後を思い描いていたが…!? 美しさの裏に潜む壮絶な本性とは⁉ 衝撃のサスペンス!!
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