これがデビュー作という新人の作品なのだが、見た感じは80年代テイストである。それもそのはず、今時アナログで、しかも水彩で描いているのだという。その上スペースオペラでボーイミーツガール。
コッテコテのコテコテだ。そこがよいのだが。
漫画「サザンと彗星の少女(上)」あらすじ
主人公はサザンという地球人の青年。地球には仕事がないので、宇宙に出て仕事をしている。宇宙と言っても、バス(っぽい宇宙船)が出ていて、日帰りで通勤である。こういう呑気さがなんとも80年代のSFだ。
ある日、残業に熱を入れ過ぎてうっかり終バス(宇宙船だけど)を逃したサザンは、たまたまバイク(っぽい宇宙船)に乗ってその場を通りかかった少女、ミーナに地球まで送ってもらうことになる。すなわち出会いである。
漫画「サザンと彗星の少女(上)」ネタバレ
地球に向かって飛んでいる最中、二人は賊に襲われる。ミーナの旧知の宇宙海賊(とは言わず、ピクニック盗賊団と名乗っているが、まあやってることは宇宙海賊だ)、キッドとその部下たち。外見は豚人間で、ファンタジーの文脈でいえばオークそのものであるが、多分そういう外見の宇宙人であるらしく、豚と言われるとキレる。
ちなみにキッドは巨大化したり小さくなったりする能力を持っている。何の説明もないからそういう種族なのかそれとも何かを用いているのか不明だが、とにかくそういう能力の持ち主である。
ピクニック盗賊団は弱小宇宙海賊であるらしく、ミーナにあっけなく撃退される。そして地球に着いて、ミーナはサザンを危険に巻き込んだことを謝罪し、もう関わらないから許してほしいと言うのだが、サザンはそれを遮ってミーナをデートに誘う。
一回目のデートはうまくいくのだが、その次のデートがうまくいかない。ミーナが約束のBarに姿を現さないのである。諦めたサザンが帰ろうとしたら、ミーナがいた。なんだか傷だらけの姿で、自分と関わると危険だからやっぱりもう会えない、などと言い出す。
地球の友人の家で落ち込んでいるサザンのもとに、例の豚海賊、もといキッドが姿を現す。ミーナの手がかりを求めてやってきたのである。手がかりになるものはあったのだが、それを種にサザンはキッドに交渉を持ち掛ける。この手がかりと引き換えに、ミーナに再び会うために自分を船に乗せていってくれと。
キッドはやらずぼったくりで手がかりの品だけ巻き上げて飛び立とうとするのだが、サザンはちゃっかりピクニック盗賊団の宇宙船に忍び込み、そのまま密航、地球を旅立つ。
キッドは最初はサザンを宇宙に放り出そうとするが、結局サザンが修理工としていい腕を持っていたことなどもあり、最終的にはサザンのことを認めるようになる。そして、ミーナがなぜ宇宙において狙われているのかを教えてくれる。
ミーナはふつうの人間ではなく、高いエネルギーを体にそなえて生まれてきた「彗星の少女」なのであるという。
そのエネルギーのために、宇宙のさまざまな勢力に狙われ、また孤独に生きてきたのだという。なおキッドもミーナのエネルギーとやらを狙ってるうちの一人である。
旅の末、サザンはミーナに再会することに成功する。だが、ミーナはアグルダと名乗る大物の悪党によってまた攫われてしまう。キッドを励まし、一緒にアグルダの巨大宇宙船に乗り込もうとするサザン。上巻の筋書きはここまでである。
漫画「サザンと彗星の少女(上)」感想
ストーリーラインはなんとも古典的で、今の感覚で読むと牧歌的ですらある。狙ってやってるならたいしたものだと思う。ともあれまだあと半分残っているので、全部読んでからまとめての感想を述べることにしよう。
サザンと彗星の少女(上)
300年後の世界。破滅を呼ぶ生命体。巨大船の謎。他惑星へ出稼ぎに出ている地球の青年サザンは、ある夜、赤い髪の少女・ミーナと出会う。彼女は体内に強大な力を秘めており、そのエネルギーを狙って腕自慢の盗賊たちが次々と襲ってくるという。再会を約束した日、何も言わずに姿を消したミーナ。彼女を追う中で「破滅を呼ぶ生命体」の存在を知ったサザンは―オールカラー&フルアナログ作画!80’sの世界観で描く驚異の新人の圧倒的デビュー作!!