砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない【下巻】あらすじ
えーと、いま読み終えたところなのだが、(原作読んでんだから内容は知っていたんだけど)正直言葉にならないな。うーん。
不幸少女海野藻屑と実弾を欲する中学生山田なぎさ、二人の青春物語の下巻である。確かにこれは青春と言う言葉でしか説明できないような気がする。
筋書きとしてはどうなるのかというと、藻屑という少女は泡になって消えてしまう。そういう話である。砂糖菓子の弾丸には、何を撃ち抜く力もなかった。主人公は無力に打ちひしがれるが、しかし物語的には希望のようなものも残して、話は終わる。
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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない【下巻】ネタバレ
山田なぎさはそれなりに自分は不幸だと思っていた。まあ、片親を亡くして苦労しているのだから分からないではない。そんな彼女にとって、明らかに自分より不幸だと思われる藻屑の存在はショックであった。とはいえ、友達づきあいは続く。
ある日、なぎさが世話をしているウサギ小屋のウサギが殺されていた。
以前一緒に遊びに出掛けた少年が、藻屑が犯人だ、と言って殴りかかる。藻屑は殴られるがままである。なぎさが割って入り、少年は停学処分となる。しかしそれよりなぎさにとって印象的だったのは、藻屑が明らかに「殴られ慣れている」という感じであることだった。
この頃になると近所でも噂になっているのだが、藻屑は父親から身体的虐待を受けている。
昨日今日のことではなく、赤ん坊の頃かららしい。藻屑はそのせいで身体が不自由だ。なぎさやほかのクラスメイトは、藻屑がキャラづくりのために演じているものだと思っていたのだが(藻屑自身が隠していたということもあるが)、藻屑は手帳も持っているガチの身体障害者なのである。ちなみに耳もおかしく、片方聞こえない。
ある日なぎさは藻屑の父、海野雅愛に街で遭遇する。有名人とはいえ生きた人間なのでそりゃあそのへんで買い物とかしているのである。
それはいいが、なぎさは「藻屑に暴力を振るうのをやめてください」みたいなことを訴えかける。が、通じない。雅愛と言う人は基本的にいかれているのである。訴えるぞ、みたいなことを言われる。どうにもならない。
学校でもそれからいろいろなトラブルが続いて、とうとうなぎさと藻屑は一緒に逃げ出すことにした。しかし、荷物をまとめるために家に戻った藻屑は、そのまま二度と出てこなかった。
雅愛にいくら話してもらちがあかない。なぎさは、引きこもりの兄に相談する。兄は引きこもりであるが、意外と精神面ではしっかりしていて頼りになるのである。二人は犬が埋められていた例の近所の山に、藻屑を探しに行く。で、結局見つけてしまうのであった。無惨なその亡骸を。
雅愛は逮捕され、犯行を自供した。物語的にはこれで終わりである。後日談として、引きこもりだった兄は自衛隊に行くことを決意し、なぎさは進学する道を選ぶことがわずかに語られる。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない【下巻】感想
しみじみと胸が痛くなる作品である。
原作自体がそうなのだが、それを踏まえて考えても質の高いコミカライズであった。ひどく胸を打つものがあった。端的に言ってしまえば物語の主軸をなすのは虐待なのだが、それだけでは終わらない高い完成度があり、物語としてはしかし美しくさえあるのであった。
単行本一冊(それも、かなり薄い)の小説のコミカライズとしては、百点満点の出来栄えと言っていいのではあるまいか。
ちなみに原作小説の最初の単行本が出たのが2004年、このコミック版は2008年に刊行されている。それはいいんだが、「砂糖菓子の弾丸」でグーグル検索をすると、サジェストに「アニメ」って出るんですよね。
アニメ版あるの!?と思って真剣に探してしまったが、どうやら無さそうである。舞台にはなってるみたいだけど。
その筋では定評のある作品なので、ひょっこりまた十年後とかに映画になったりなんだりすることもあるかもしれない。心の隅で少しだけ期待しておくとしよう。というわけで、紹介を終わる。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
現実主義の女子中学生・なぎさと、自分を人魚だと言い張る不思議な転校生・藻屑。2人の少女の出会いが、甘く切ない思春期の痛みを呼び寄せる。桜庭一樹の原点といえる小説を気鋭・杉基イクラが鮮烈に漫画化!!
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