有名なイラストレーターが描いた漫画である。どう有名かというと……LOという(その筋では)有名なロリコンエロ雑誌の表紙を長年手がけている人なのである。この漫画はぜんぜん、そっち方面の作品ではないのだが。
漫画「百万畳ラビリンス(上)」あらすじ
行けども行けども和室。畳の部屋。廊下。ボロアパートのような部屋割り。そして外は日本の光景とは思えない大樹海。そういう異空間というか亜空間というか、そんな謎の大迷宮にとらえられた二人の女性が奔走する話である。
表紙絵で左が礼香。右が庸子という。
漫画「百万畳ラビリンス(上)」ネタバレ
二人はふと気が付くと迷宮にいた。いつからいたのか、どうやってここに来たのか、分からない。まず、ここが「何なのか」も分からない。
なんか生活感があり、食べ物が置いてあったりするので、もしかしたら他人が生活している場所なのかもしれない、などと当初は呑気なことも考えている。
文章で説明するのは難しいのだが、明らかに異様な建物である。たとえば、小便器の前に上水道が置かれていたりする(手洗いというわけではなく)。しかし、ひねると、綺麗な水が出る。水道なんて数日も放置すれば赤い水が出るものなのだが、と二人は首を傾げる。
結論から言ってしまうと「ここが何なのか」は上巻(本作品は上下巻である)では明らかにならないのだが、とりあえず生存のためにサバイバルする必要はさほどなさそうだということで、二人は目的を考える。庸子は「外部との連絡手段を確保して助けを呼ぶ」もしくは「破壊してでも施設から脱出する」ことを提案するのだが、礼香は第三の選択肢を提案する。
「この施設に君臨する支配者となる」。
まず、一番最初の大きな動きは「人影が見えた」である。重大な手がかりだ。しかし、追っかけていくとどこまでも離れていく。立ち止まると、向こうも止まった。ここで曜子が気付く。遠くに見えている人影は、自分たちの姿なのではないか?スリッパを向こうに投げてみたら、そのスリッパが後ろから飛んできて頭に当たった。空間がループしているというわけである。
ここはとてつもない科学力によって作り出された場か、あり得ない異次元空間か、少なくともそんなような何かだ。なお、上と下も繋がっているらしく、完全に閉鎖された環境であることがわかる。
ちなみに「VR空間である」というありがちな解は当然考慮されているが、面倒だから先に言ってしまうとそういうオチではない。
次の重要な情報は「書置きの発見」。ちゃぶ台の上に、メールアドレスと「連絡ください」というメモがあったのである。
問題はどうやってメールを送るかだが、ケータイはある。そして、電波は入らないが、どこかにWi-Fiが飛んでいるらしい。そこまで行く事になる。ちょっとした冒険だが、樹海の向こうにそれらしき建物があったので、そこに向かおうとしたところ……
超巨大な怪物が現れて、迷宮の建物を呑みこんでしまった。以後、これをパックンモンスターと呼称する。迷宮は生きていて、増殖を繰り返しているらしく、このパックンモンスターが刈り込んでいるということのようだ。
結局、新しい方の建物にはパソコンがあった。メールを送る。返信が来て、チャットをすることになる。相手は多神という人物。既知の存在で、二人と同じ会社に所属している、ゲームデザイナーである。
長い会話になるが、多神はこの時点では真に肝心なことは教えてくれない。なお、重ねて言うようだが「この世界は多神というゲームデザイナーが作ったゲーム空間である」というオチではない。
多神は「ゲームコントローラーを探し、また後日コンタクトを取ってくれ」という。
二人の冒険は続く。この空間の法則のようなものも分かってきて、色々なことができるようになる。そんなこんなで、ゲームコントローラーなるものも見つかり、多神に再びコンタクトを取ると、「扉の先」に行く方法、なるものを教えてくれる。上巻はだいたいここまでである。
漫画「百万畳ラビリンス(上)」感想
優れたイラストレーターと優れた漫画家を両立できる人間というのは少ない。それぞれ、求められる才能が似ているようで違うからである。しかしこの漫画は、よくできている。寡作なのが惜しいくらいである。では、下巻の紹介は後日ということで。
百万畳ラビリンス
人と関わるのが苦手な礼香はゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていたが、ルームメイトの庸子と共に木造迷路に迷い込んでしまい!?ミステリーファンタジー!