以前に紹介した『眼鏡橋華子の見立て』と同じ作者の作品である。ただし、こっちの方が古い。この作品が先にあって、また同じコンセプトのものを、ということで始まったのが眼鏡橋華子の連載だということのようだ。
目次
漫画「メガネ画報」あらすじ
主人公の名は佐藤花子。16歳の高校生。メガネ屋の娘である。メガネに対して深い造詣と愛情を持っており、マニアである。ちなみに、メガネ屋では喫茶コーナーもある。だから何だと言うわけではないのだが。
いちおうこの作品は各話完結形式となっている。花子は「メガネ探偵」などとも呼ばれており、事件現場に残されたメガネだけを手掛かりに殺人事件の謎を解く、などという真似をしてしまったりもするのだが、ミステリーとは関係のないエピソードも結構ある。
漫画「メガネ画報」ネタバレ
Frame.1 レンズ越しの光景
殺人事件が起こる。事件には手がかりらしいものがほとんどない。あるのは、被害者がかけていたメガネくらいのものである。そのメガネは実は本人のメガネではない、ということから芋ずる式に不可思議な推理をして花子は犯人を言い当ててしまう。以後、なんとなく警察の人たちと交流を持つようになる。
Frame.2 ちょっと大人
これは推理物ではない。メガネを無くしたと主張する少年の屈折した心を、メガネへの愛を媒介として花子が解きほぐし、メガネに対する理解を広めていくという啓蒙漫画。
Frame.3 メガネと一緒
コンビニ強盗事件が発生する。遺留品は例によってメガネ絡みである。カラーボールをぶちあてられた犯人が「メガネ拓」を現場に残していったので、そこから犯人の眼鏡を花子が言い当て、例によってよくわからない理論を並べて犯人を追いつめていくのだ。犯人はぽっと出のキャラクターであるから特に解説はしない。
Frame.4 イイもの
「安物の鼈甲メガネをかけた人間ばかりが狙われる」という妙な連続ひったくり事件が発生。なお、被害者の特徴をそう絞り込んだのも花子である。ちなみに犯人も、「安物の偽物の鼈甲メガネをかけている人間が許せない」という奇怪な動機を持った眼鏡マニアであった。
Frame.5 ボクのメガミ
花子のことが好きな、隣の学校の生徒が出てくる。なんかラブコメっぽい話であるが、「花子は眼鏡を外した素顔を見られるのが嫌いである」ということが分かるだけで、恋の進展とかは全然ない。
Frame.6 絵のない額縁
事件などはまったく起こらない。メガネは自分に似合うものを選びましょう、というテーマの、眼鏡マニアによる啓蒙的なお話。
Frame.7 スリーピング・アクティビティ
「メガネを!したまま!寝るな!」という作者の主張が熱く展開される。事件は起きない。
Frame.8 8人の優しい日本人
久々に殺人事件。だがノリは軽い。例によってメガネ推理により、「アイドルが殺された事件の犯人がカメラマンだが、そのカメラマンは被害者の眼鏡を隠すためにどうたらこうたら」という話が展開される。
Frame.9 メガネ忘れ鉄道
鉄道の忘れ物として並べられたメガネその他の遺留品から、これのもとの持ち主は自殺したのではないか?という推理を巡らせる花子。だがそんな推理正しくても正しくなくてもどうなるものでもない。結論を言うと、珍しく花子の推理は間違っており、その忘れ物の主は知り合いであった。
漫画「メガネ画報」感想

正直なところ「メガネで推理」というのは無理があったんだろうな、という、なんというか頑張ってはいるんだけど頑張り切れなかった感のある漫画。
ただ、『眼鏡橋華子の見立て』のパイロット版として見れば、その後の成長のポテンシャルが読み取れる部分もある。たまにはこういう読み方をして、作者の作家としての成長を知るのも面白きものではある。
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