ふみふみこの半自叙伝コミック「愛と呪い」2巻である。なお、3巻はまだ刊行されていない。
漫画「愛と呪い」2巻あらすじ
3巻がどうなるのかは分からないが2巻は高校生編である。
こういう生い立ちの人間によくある流れとして、性に奔放な生き方に走るようになる。時代的な背景から「援助交際」と呼ばれていた頃だ。
漫画「愛と呪い」2巻ネタバレ
しょっぱな冒頭、主人公が名も知らぬ男にフェラチオをしているシーンから始まる。それをなんか上から自分自身の幽霊のようなもの(もう一人の自分の理性の視点だと思われる)がふわふわ浮いて見ている。いかにも境界例人格障害的な描写だ。
その男が(最後までするのは)「はじめて」であったらしいが、感慨はない。連絡先を貰ったが、すぐ捨ててしまう。
主人公、高校生になって、いちおう学校に溶け込んではいるのだが、例の松本さんと、塩谷という昔振られた少年とは微妙な間柄のままである。というか、今も同じ学校なのだな。
主人公は援助交際を始める。金に困っているわけではない。いわゆる自暴自棄というか、セックスに溺れているときだけ苦しみを忘れていられるとかそういうタイプである。最初の相手が田中という若い男で、善人でもないが悪人でもなく、なんとなく主人公は彼に惹かれるものを覚える。
さて援助交際二人目。行為中に、幼少期の性的虐待がフラッシュバックして、相手に「首絞めて」とか言い出し、割とドン引きされる主人公。哀れといえば哀れであるのだが、気の毒なのは相手も同じであろう。まあ買春などするのが悪いと言ってしまえばそれまでではあるのだが。
何度目かの援助交際をやっていたら田中とホテル街で偶然に再会した。田中さんのことが気になるからかえって連絡しなかった、という主人公に、じゃあ付き合うか?という田中。援助交際している女でいいのか、と言うが、別に構わないという。
というわけで、田中と継続的に関係を持つようになる主人公。これはまだ伏線である。
主人公、設営委員会とかいう体育祭の下働きの委員で、松本と塩谷と一緒になり、きまずいものを覚える。
さて、夜中に家で煙草を吸っていたらしき主人公、親にそれがバレ、顔が腫れあがるほど殴られる。学校に行きたくないので、車で田中に学校に送ってもらう。その日は体育祭である。外から学校内を眺めながら、主人公は田中に自分の生い立ちその他を打ち明ける。田中は、ふーん、まあよくある話だよな、と聞いている。基本的に深く立ち入ってこないのである。
学校で遠藤くんという少年に告白される主人公。もういろいろぶっ壊れているので、告白されて付き合う、というていで、いきなりカラオケボックスに連れ込んでことに及ぼうとする。(カラオケボックスでやるのやめたほうがいいよカメラあるから、おおきなお世話だけど)
もっと自分を大切にしなよとか言われて主人公はキレる。君は自分を大切にできていいね、などと、八つ当たりも甚だしいのだが、とにかく切れる。そのまま田中に電話して、支離滅裂なのだがなぜか結婚を迫る。つまり支離滅裂なのである。
田中に軽くあしらわれて電話を切られた主人公は自殺を図った。だが、首を吊っていたベルトが切れた。
それを田中にまた話すと、「お前は自分が世界の中心だと思いたいのだろ、自分なんか無価値だって言うのはその裏返しだ」などと言われる。
2巻はだいたいそんな感じで終わりである。
漫画「愛と呪い」2巻の感想
どんどんひどい方向に話が転がっているが、どうも3巻はもっとひどい感じになるようだ。いいぞもっとやれ。
愛と呪い
物心ついた頃には始まっていた父親からの性的虐待、宗教にのめり込む家族たち。愛子は自分も、自分が生きるこの世界も、誰かに殺して欲しかった。阪神淡路大震災、オウム真理教、酒鬼薔薇事件……時代は終末の予感に満ちてもいた。「ここではないどこか」を想像できず、暴力的な生きにくさと一人で向き合うしかなかった地方の町で、少女はどう生き延びたのか。『ぼくらのへんたい』の著者が綴る、半自伝的90年代クロニクル。