家族間トラブルの闇を暴く衝撃作!漫画「子供を殺してくださいという親たち」内容やネタバレ感想

「子供を殺してください」という親たち

この漫画は押川剛(著)である「子供を殺してくださいという親たち」といったノンフィクション文庫をコミカライズした漫画。監修は押川剛先生がすると共に漫画は鈴木マサカズ先生が担当している。実話をベースにした超衝撃作である。

原作を読んだことはないが、漫画からわかる壮絶な家庭環境や子供達の重圧や心情など人によっては胸が苦しくなる内容となっている。

魂のこもった漫画であり、現代社会の裏側にスポットを当てている。主に家族間トラブルから起こる非行、そこから医療に繋げるまでの各家庭のエピソードが濃厚に描かれている。

漫画「子供を殺してくださいという親たち」ネタバレ

ネタバレと言うか、どういった家庭がどのような経緯で壊れていくのか…どう医療に繋げていくのかを重厚に描かれた漫画。なので1巻でどのようなエピソードが詰まっているかを解説していきたいと思う。

精神障害者か犯罪者か

最初のエピソードである。
対象である荒井慎介(仮名)は法学部に入れるほど優秀な人物であったが急に成績が下がり始め、奇行が目立つように。心療内科での診断結果は「統合失調症」といった診断であった。

このエピソードでは徐々に壊れていく慎介。息子を預かり更生させていこうとする押川が描かれる。

入院して症状も軽くなってきて、社会復帰。しかし、職場で暴力をして警察に逮捕など。のっけから衝撃的な展開を向かえる。治療に症状は落ち着いてくるも妄想が固定化されており、まともな会話ができない慎介。

決してハッピーエンドで終わることのないエピソードであるが、押川剛さんの最後に呟く言葉は非常に印象的であった。

「表面的な事象にとらわれ、ぬくもりや人間味に欠けた育て方をすれば問題行動として必ず跳ね返ってくる」

親と子の殺し合い

アルコール依存症である木村とのエピソード。
自制が効かなくなる理由は『酒』とわかっていながらも酒をやめられない木村。質問にて模範解答するも危険な香りを感じる押川。

木村の過去の行い、親がひた隠す『何か』など押川が徐々に家庭の闇へと潜っていく。

アルコール依存症の専門医院へ転院する木村。しかし、病院から自宅へ手紙や脅迫めいた電話をしてくる。そして押川が母親とのヒアリングにて家庭の闇を暴いていく。

このエピソードのラストは衝撃的。対象である木村から暴行を受けるも父親と対面。木村がどうしてもアルコール依存症になり、非行へ走るのか厳しい言葉ながら父親に自覚させようとする一幕がある。

母と娘の壊れた生活

母と連絡が取れないと言って押川に依頼してくる和田朋子とのエピソード。母親は朋子の姉と同居しているが連絡が取れない原因は姉にあると伝える朋子。

朋子と姉の回想シーンが入り、徐々に壊れていく姉が描写される。

2人の安否を確かめるため依頼を受け調査に乗り出す押川。

ドアノブにガムテープがベタベタに貼り付けられており、異常性を感じる押川は隣人に対象の家の事情を聞き込みする。聞き込みから最悪のケースも予想して警察に協力の要請をせざるを得ない状況。

2人の安否を心配しながら1巻の幕は閉じる。

後書きにある押川剛先生の魂の叫びは必見!

「子供を殺してください」という親たち

1巻の巻末には「押川剛、現場からの声」と称して読者宛てにメッセージが書き綴られている。

このような仕事を始めたキッカケ。漫画を手に取った読者へのメッセージ。漫画化に対する熱い想いも綴られている。是非、漫画「子供を殺してくださいという親たち」を手に取ったら後書きにも注目をして欲しい。

リアルかつショッキングな内容だが、考えさせられる部分も多く、平穏な生活の裏で家庭間トラブルで家族が滅茶苦茶になっていると言う現実を漫画を通して垣間見ることができる作品。

万人受けしない作品であることは承知だが多くの人に読んでもらいたい漫画だ。


「子供を殺してください」という親たち

「子供を殺してください」という親たち

原作・著者押川剛/鈴木マサカズ
価格572円

家族や周囲の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘…。現代社会の裏側に潜む家族の闇と病理を抉り、その先に光を当てる――!! 様々なメディアで取り上げられた押川剛氏の衝撃のノンフィクションを鬼才・鈴木マサカズ氏の力で完全漫画化!


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