とらドラ!(1)
著者 竹宮ゆゆこ / 絶叫 / ヤス
雑誌 電撃コミックス
出版社 KADOKAWA
ジャンル 青年漫画
とらドラ!である。そう、とらドラ!である。2008年、1クールのアニメとして放映され、一大旋風を巻き起こした、あの「とらドラ!」の、これはコミカライズ版だ。
とらドラ!【第1巻】あらすじ
物語は、主人公・高須竜児が高校二年生になるところから始まる。
学年が変わったわけなので、クラス替えがある。新しいクラスメイトに、片思いの相手・櫛枝実乃梨と、友人の北村祐作、そしてもう一人、チビで美少女で凶暴なツンツン娘・逢坂大河がいた。
新学年になってまもないある日、竜児は鞄の中にラブレターが入っているのを見つける。宛名は自分ではなく北村だった。そして差出人は、大河であった。ちなみに、届いてないのであまり重要ではないが、封筒の中身はからっぽであった。大河はツンデレな上にドジっ子である。いろいろと設定が盛り盛りだ。
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とらドラ!【第1巻】ネタバレ
その晩、竜児は自宅で、何者かの襲撃を受ける。木刀を持っていた。割とガチで殺しに来ていた。あまりのインパクトからその後のラノベ界ではボーイミーツガールのテンプレートの一つにまでなった、「大河による竜児襲撃事件」である。
ともあれ、竜児の説得で大河は剣を収め、しかも、なんとなく夕食にチャーハンをご馳走され、すっかり毒気を抜かれてしまう。
竜児の、何が彼をそこまでさせるのかという必死のフォローは続く。竜児は、自分が櫛枝実乃梨に片思いをしていることまで打ち明ける。大河の好きな相手は竜児の親友で、竜児の好きな相手は大河の友人だ、というわけだ。ここに、二人の協力体制が構築され、そして、長い長い、不器用な二人の恋のすれ違いが始まりを告げる。
このコミックス単行本一巻では、具体的な物語の進展としては、「大河・竜児・櫛枝・北村が、一緒に机を囲んで弁当を食べるようになる」、そして、「櫛枝が大河と竜児の関係について何かに気付く」という、そこまでで終わっている。
原作小説でいうと、一巻の終わりまでも届いていない。展開が遅い。とにかく、展開が遅いのである。
とらドラ!【第1巻】感想
このコミカライズの作者の「絶叫」は、とらドラコミカライズの一作品前、「じゅっTEN!」というコミックREXの連載作品でデビューした新鋭であった。
筆者はこの「じゅっTEN!」という作品もコミックスを全部買って読んでいたが、有体に言ってしまうと「絵はすごく上手いのだが、話作りが下手」であった。惜しい才能だ、と思われた。「ろくなキャリアもない新人には難しいだろうが、いい原作でもつけてもらったら化けるのではないか」と思っていた。
そこへ、電撃文庫の大ヒット作「とらドラ!」のコミカライズの話が舞い込んだのだ。一ファンとして、筆者が歓喜したのは言うまでもない。
原作の話の良さと、絶叫の絵のうまさ、そして絵遊びのうまさ(たとえば、この漫画の大河は顔芸が凄い。原作小説にもアニメ版にもない要素である)で、このコミカライズのクオリティはとても高い。というか、大河かわいい。凶暴美少女かわいい。まさに手乗りタイガー。
ただし一つ難点がある。この1巻が刊行された時点では、まだ原作小説も完結していなかったし、アニメ版も放映前だったから、明瞭ではなかったが……とにかく、重ねて言うが、このコミカライズ、展開が遅いのである。
最終的な原作の長さと、物語の進行ペース、そして連載の頻度からいって、「完結まで20年かかる」と、冗談抜きで言われた。というか、現に、既に1巻の刊行から9年が経つ。そして現在、7巻まで出て、連載は続いているが…
ぜんぜん終わりそうもない。
ぜんぜん終わりそうもない。
ぜんぜん終わりそうもないのだ!(大事なことなので三回も言いました)
果たしてこのコミカライズシリーズが完走できるのか、それとも何らかの形で中座して終わってしまうのか。本当に、読者としては気を揉まされっぱなしの9年間なのである。
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