『それでも町は廻っている』の石黒正数氏の新作。まだ始まったばかりなので、一巻のみである。
漫画「天国大魔境」あらすじ
あらすじというか設定・世界観をまずざっくりと言うと、カテゴリが「SF」である。SFにも色々あるが、いわゆる「ポストアポカリプス」(文明崩壊後の世界)だ。良くある話ではあるが、ディストピア(管理された偽りの理想郷)っぽさもちょっとにじむ。
一巻は混沌としている。「施設」編と、「旅する二人」編の二つ(名前は筆者が勝手につけた)が並行して進んでいくのである。
施設編についてはさしたるほど語れることもない。謎が多すぎるのである。だいたい、旅する二人編との時系列上の関係も分からない。ただ、物理的に閉鎖されている研究所のような施設とそこで暮らす人々がいて、「外」の世界には怪物がうようよしているらしい、みたいな話が出てくるだけだ。
旅する二人編の方はポストアポカリプスの世界を旅する二人を描くのだが、彼らの旅している崩壊世界が、例の施設の「外」であるのかどうかも確定事項ではない。
漫画「天国大魔境」ネタバレ
旅する二人、キルコとマル。マルは少年で、キルコは「おねえちゃん」と呼ばれている。(血の繋がりのある姉弟ではない)。二人は「天国」を探している。だが天国というのが何を指すのかは分かっていない。観念的に天国っぽい場所なのか、天国と呼ばれる施設や組織のようなものなのか、何の手がかりもなしにあてどもなく崩壊した世界を彷徨っているのである。
この世界はどう見ても日本である。十数年前に「災害」と呼ばれる大破局に襲われ、文明は崩壊したが、生き残っている人はいる。十数年しか経ってないのでまだ家なども残っているし、漁れば食糧くらいは見つかることもある。
キリコはマルのボディーガードを称していて、奇妙な銃を持っている。充電式のレーザーガンのようなものらしいが、詳細は不明だ。分かっているのは、威力は高いが3発くらいしか撃てないということまで。
ある日、旅していると盗賊に襲われる。いや、盗賊と呼べるほど組織されてもいない、悪党というほど悪党ですらもない、チンピラの集団である。銃で返り討ちにして脅して言うことをきかせ、情報を求める。「天国を知らないか」と。
目当ての場所なのかどうかは判然としないが、いちおう、ひとつ手がかりがもらえる。「トマト天国」と称して集団生活を送るコロニーのような場所があるらしいのである。そこへ向かうことになる。
途上、信じられないことに、営業している「宿屋」が見つかる。この場面で、日本円(しかも紙幣)がまだ流通していることが分かる。だが、やっぱり一筋縄でいく相手ではなかった。宿のおかみ(一人でやってる)は、外に出る怪物「ヒルコ」(巨大な鳥の化け物)にかつて息子を食い殺されたのだが、ヒルコに息子の意志が宿っているのだと信じ、旅行者を薬で眠らせてヒルコに餌として与えていたらしいのである。
結局、見ている前でおかみはヒルコに殺され、ヒルコは二人が仕留めた。胸にもやもやしたものを残しつつ、旅は続く。
トマト天国というところに着くには着くのだが、ただの農業を中心としたヒッピー集団の共同体であり、探していた場所とはやっぱりどうやら違うらしい。1巻はだいたいそんなところである。
漫画「天国大魔境」感想
読み手を振り回してくるような1巻である。
伏線が縦横に張り巡らされ、ぜんぜん紐解かれないので、蜘蛛の巣にかかったような気分だ。いちおうネタバレをまとめさせてもらったが、実際読むともっとケムに巻かれるであろうことは保証しよう。
天国大魔境
美しい壁に囲まれた世界で暮らす子供たち。少年・トキオはある日、「外の外に行きたいですか?」というメッセージを受け取る。一方、外では、マルとおねえちゃんがサバイバル生活をしながら、天国を求めて、魔境となった世界を旅している。未来の日本を「あね散歩」。二つの世界を縦横無尽に行き来する、超才・石黒正数最新作、極大スケールでスタート!!
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