『このマンガがすごい!』2020オンナ編第1位、『さよならミニスカート』をご紹介していく。既刊は2巻まである。
さよならミニスカート【あらすじ】
主人公は、神山仁那(かみやま にな)という、男装して高校に通っている少女。校則上、別に違反ではないらしいが、そんなことをしている女子生徒は彼女以外にはいない。
態度も表面的には男まさりでツンケンしているが、別に嗜好として異性装をしているわけでも、ましてや同性愛者なわけでもない。実は彼女は、半年前まで、PURE CLUBというアイドルグループのセンターをやっていた「雨宮花恋(あまみや かれん)」その人である。
だが雨宮花恋はある日、ファンというかストーカーに切りつけられて手首に大きな疵を負い、それがショックでアイドルを辞めてしまった。そして重度の男性恐怖症に陥り、素性を隠して男装して高校に通っているのである。
長栖未玖(ながす みく)という女生徒がいる。仁那のクラスメイトであるのだが、たいそう仲が悪い。未玖の方は非常に古典的な「ぶりっ子」タイプである。
未玖が恋愛感情を抱いている相手が、堀内光という少年。女顔の美少年だが、柔道をやっていて、本人はゴリラ的マッチョに憧れている。
ここまでが基本設定となる。
さよならミニスカート【ネタバレ】
さて、ある日、学校の近所に変質者が出たとかで、女子は部活禁止、集団下校するように、という指示が下る。仁那は男装しているという事情もあって一人で帰っているのだが、光はそれを見かねて「送っていく」とか言い出す。
そのとき、光は偶然に見てしまう。仁那の腕にある疵を。普通、常識的に考えれば、どう見ても手首を切って自殺に失敗した疵にしか見えないのだが、光は別のことを認識する。光はもともと(妹がファンだった、と本人は説明している)、雨宮花恋のことを知っていて、仁那が花恋なのではないかとあたりをつけており、手首に証拠となる疵があるのを見て確信を得たのである。
で、翌日かな、光は仁那に直接自分が気付いたという事実を告げて、妹のことも説明し、「アイドルになってくれてありがとう」と言って微笑みかける。
仁那は男装しているが男の子に興味がないわけではないので、これでころっと恋に落ちてしまった。主人公だが、割とチョロインである。
さて、恋愛経験のまったくない仁那は「とりあえず毎朝おはようと言ってみる」という限りなく奥手なアプローチを開始するのだが、ある日、光が男友達と「やっぱり胸の大きさが〜」とか言ってるのを聞いて、落ち込む。貧乳なのである。で、朝の挨拶はしなくなってしまった。
そのことを友達(アイドル時代の仲間)に話したらがっつりあきれられた。ところで、光が胸の話をしていたというのは、ちょっとした誤解であった。なんとなれば、光が話していたのは「ボディビルの男性の理想について」であり、胸というのは男性の胸囲の話だったのである。
さて、そんなほのぼのとしたエピソードをはらみつつも、物語は急展開する。
アイドル時代の仲間のその友達の子が、例の犯人(捕まっていないのだ)と光は同一人物なのではないか、という疑いをかける。共通点がいろいろある。犯人も柔道をやっているらしいのだ。
なんだが、惚れた弱みで仁那は光をかばってしまう。面と向かって「お前が犯人だろう!」と突き付けられた光と一緒に、タクシーに飛び乗って走り去ってしまうのである。1巻終わり。
さよならミニスカート【感想】
有名な少女漫画誌「りぼん」の連載作品であり、基本的には少女漫画の文法で書かれている。男性とは、女性とは、みたいなテーマがあるにはあるが、一巻はサスペンスをはらみつつもまだ少女漫画である。そして面白い。
2巻でどう展開していくのか、楽しみである。