もっか大好評第二部連載中『チェンソーマン』の作者の別作品。
内容にはつながりはまったくない。独立した、全一巻単巻の作品である。
さよなら絵梨【あらすじ】
主人公が映画を撮っている。
というか、主人公が撮っている映画という体裁で描かれている漫画である。
それ以上のことを言うと致命的なネタバレになりかねないので、さくっとネタバレに進もう。
さよなら絵梨【ネタバレ】
母親からビデオカメラをもらった少年が、病気で長くない母親を題材に映画を撮っている。母はだんだん衰弱し、病院に入院し、これから死ぬというところで、主人公は母親の死に直面したくなくて逃げ出す。
というところで、病院が爆発する。
なぜ爆発させたし。
話によれば、「母親が死んだという事実は確かにあり、それを題材に撮った映画を、そういう落ちにして学校で公開した」ということである。で、大顰蹙(だいひんしゅく)を買う。
少年は、馬鹿にされてむかついたから自殺すると宣言し、病院に向かう。そこの屋上から飛び降りるつもりでいたら屋上に一人の少女がいて、出会った。ボーイミーツガールである。
少女はなぜか少年の映画のことを知っていた。で、何の説明もなく少年をどこかの廃墟(たぶん彼女の秘密基地)に連れて行き、映画を見せ始める。君は映画を見足りないからもっと映画を見るべきだ、とか言って。少女は「絵梨」と名乗った。一緒に映画を作ろう、という。
さて、少年と絵梨の青春の日々が始まる。一緒に映画の研究をしたり映画を作ったりするのである。青春以外にどんな言葉で表現しうるであろうか。
さて、二人は映画を撮り始めるわけである。絵梨は人間を演じる吸血鬼の役。だが、撮影の最中に絵梨は倒れる。で、入院。最初に病院にいたのが伏線で、彼女は体が弱かったんだか病気を持っているんだか、つまりそういうあれなのである。
さて、二人は恋人同士になり、今度は「彼女が死ぬまでの映画」を撮り始める。キスシーンとかも撮ってる。で、絵梨が死ぬところまで撮って、また学校で発表して今度は大受けするのだが。
そのあとでネタバレするシーンが入る。
すべては映画のための虚構であり、絵梨と少年は実際には付き合ってなかったとか、なんかそういう話が出てくるのである。
さて、大人になった主人公が出てくる。家族がみんな死んだらしい。思えば母の死とも絵梨の死とも向かい合ってこなかった。自分の人生とはなんだったのか、みたいなことを言い出し、また自殺しようとしているらしく、自分の撮ったフィルムを見返している。すると、そこに少女が現れた。
絵梨だった。
絵梨は実は本当に吸血鬼だった、だから今ここに変わらぬ姿で現れたのだ、と言う。絵梨は吸血鬼であるので、脳は死ぬが、心臓は生き続ける。記憶を失った状態でよみがえった絵梨は、「前の自分」が手紙で指図した通りに行動し、主人公と再会したのであった。
前の自分がどういう自分であったのかは、主人公が撮っていた映画によって分かった。絵梨は言う。自分は孤独だが、この映画があるから永遠の孤独にも耐えられると思う、みたいなことを。
主人公は絵梨に別れを告げ、その建物から出ていく。そして。
というところで、廃屋が爆発する。どっかーん。ちゃんちゃん。
さよなら絵梨【感想】
えー、初めて読んだときこのオチに正直ブチ切れて「最悪だ」と思った記憶があるのだが、作劇手法としては非常にうまいし、まあこのオチでいいんだろうな、と思う。
要するに「この作品は何から何までフィクションです」というオチなのだと思うのだが、こういう「単行本一巻でしかやれない、単行本一巻だからやれる」という作品は漫画界では非常に珍しいし、そういう意味で成功しているし、傑作であると言っていいだろう。さすがは藤本タツキ、と言わざるを得ない。
でも最初読んだときはこのオチ、キレました。
さよなら絵梨
私が死ぬまでを撮ってほしい――病の母の願いで始まった優太の映画制作。母の死後、自殺しようとした優太は謎の美少女・絵梨と出会う。2人は共同で映画を作り始めるが、絵梨はある秘密を抱えていた…。現実と創作が交錯しエクスプローションする、映画に懸けた青春物語!!
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