漫画「ロッタレイン」3巻のネタバレ感想!何とも言い難い余韻を残す恋物語のラスト…

ロッタレイン(3)

漫画「ロッタレイン」3巻のあらすじ

物語は決壊し、そして崩壊していく。

簡単にいえば、一と初穂は恋愛関係へと至る。だが、最終的に、初穂は一の元から去っていく。「六年経ったら戻ってくる だから 私を忘れないで」という言葉を残して。

これは愛の言葉ではない。

呪いだ。私はそう思う。

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ロッタレイン(2)

漫画「ロッタレイン」3巻のネタバレ

ロッタレイン(3)

二人が恋愛関係に陥ったきっかけは、前巻のキス未遂である。どういう角度から見ても問題のある行為であるわけだが、この物語の場合どういう方向に問題が発展するかというと、初穂がその気になってしまったのである。

ただし。それと並行する形で、ストーカー少年が行動を起こしている。二人が抱き合っている写真を勤務先だの学校だのにばら撒いたり、一が以前起こした事故の報道記事を仕事先に送りつけたり。物凄い執念と悪意である。

しかしその少年がどうだとか、いうより、この物語においていえば、残酷なのは世界そのものなのなのである。

二人の味方をする者はほとんどいない。初穂のクラスメイトの女の子の一人が「好き合ってるならそれもいいんじゃない?」とか言っているのがほぼ唯一で、世間も、学校も、勤務先の人々も、徐々に徐々に一と初穂を追い詰めていく。

最終的に、民生委員だの児童相談所職員だのまでが現れて、それに加わり始める。といっても、間違っているのは一の方であり、彼らは粛々と社会として為すべきことを為しているだけなのだからして、どうしようもない。

ちなみに、引っ張るほどの話ではないので先に書くが、警察だけは最後まで動かない。警察沙汰にだけは、ならない。ただし。

一の父は、息子(弟の方)と娘を連れて、オーストラリアに移住する、と言い出す。一には、東京に帰れ、と言う。

俄然窮地に陥った一と初穂は、ここで一つの決断に出る。まあ、必然的な流れだったともいえる。駆け落ち、である。東京まで逃れ、ウィークリーマンションを借りて暮らし始める。

なお、その状態で数日が過ぎるが、肉体関係だけは結ばない。どうも、一は歯を食いしばって耐えているらしい。

だがある日、初穂はそこから去って、家に帰っていく。そして、父親と弟とともに、オーストラリアに移住することを決意する。

一家は花火を見に行く。筆者は知らないが、長岡の有名な祭りか何からしい。死にもの狂いで戻ってきた一が、それを見つけて、初穂に駆け寄ろうとする。

そこで、ダークホースと言うべきキャラクターが動く。

初穂の弟が、いや一の弟でもあるわけだが、恐らくは全てを悟った上で、一を川原の土手の石段から、突き落とすのである。

一は病院に逆戻りし、また入院。そこに、例のガールフレンドだった人がやってきて、給料の残金の清算などをして、一の愚かさを静かに詰り、そして別れを告げて去っていく。さすがに一のガールフレンドを続ける意気はもう無いようである。

さて。ラストシーンである。なんと、病院に初穂が姿を現す。別れを告げに来たのかと思えば、これが違う。ここで、「自分のことを忘れるな」という、私に言わせれば呪詛そのものの言葉を吐いていくのである。

そして、服を脱ぎ、一のベッドにもぐりこんでくる。明示はされていないがおそらく身体を合わせたものと思われる。

その後については何も描かれない。ブラックアウトして物語は終わる。

漫画「ロッタレイン」3巻の感想

ロッタレイン(3)

正直、筆者は松本剛という作家のことはこの作品以外ほぼ何も知らないので、関係があるようなないようなところから感想を述べていくのをお許しいただきたい。最後のシーンから筆者が連想したのは、「緑のルーペ」の作品であった。

こいのことば』と『青春のアフター』である。こいのことばは、去って行った少女と再会する日がいつか来るかも知れないことを夢に見て強く生きる男の物語、青春のアフターはその真逆、忘れられない女がいるために運命を狂わされる男の物語。

この類型でいえば、『ロッタレイン』の一は間違いなく、後者であろうと思う。この先、一が、初穂との思い出を胸に、強く生きていけるとは到底思えない。

読後感は、なんというか、胸に黒いわだかまりを残すような、そんな感じである。多分、そんな作風だからこそ、ひそやかな人気がある作家なのだろうとは思う。

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