さて下巻、完結巻である。中巻あらすじで警告はしましたので、容赦なくすべてのネタをばらしていきますよ。
漫画「ルームメイト」3巻あらすじ
ざっくり大筋を書こう。中巻までで起こった三つの殺人事件は共通の犯人による連続殺人事件である。その犯人ははっきりと作中で明かされる。
だが、犯人は司法の場に引き出されることはないまま、物語は終わる。ラストはというと、ちょっと未来が描かれて、謙介と春海の結婚式である。
漫画「ルームメイト」3巻ネタバレ
中巻のときと同じで、英治が殺されるときの様子が描かれる。犯人は相変わらず顔は書かれていないが同じ人のようである。ってそれはもう言ったのだった。
犯人は英治の顔見知りで、部屋に招き入れたところ、問答無用で後頭部を金づちで強打されたらしい。
さて、捜査線上に浮かぶのは、西村麗子の彼氏である。実は麻美とも関係を持っていて(俗にいう親子丼とかいうやつであるな)、つまりパーカー殺しを依頼された可能性があるのだ。で、警察で事情聴取されることになるのだが、結局こいつは白であった。パーカー殺しについて、完璧なアリバイがあるのである。別にアリバイ工作で作った完璧な偽のアリバイとかではない。普通にアリバイである。
ここで謙介が悩む。そういえば三件の事件とも全部、自分にはアリバイがないな、と。
中巻で「犯人を推理したが間違えた」というのは、実は筆者は謙介が犯人だと思ったからである。ここで、ああやっぱりそうか、と思ったのだが結局違った。
ただ、重要な部分については当てられたといえば当てられたのかもしれない。
それは、犯人は麻美と同じく多重人格の人間である、ということである。
さて、死んだ英治から、時間差で(自分が死んだ場合に自ら備えていたらしい)謙介のところに連絡が来る。それで謙介はテープレコーダーを手に入れ、犯人の声を確認する。
麻美と話をしている、パーカー殺しを引き受けた人間の声の主は、萩尾春海であった。
ここで春海の多重人格の話が語られる。兄を自分のせいで事故死させたせいで、母親から深刻な暴力を受けていたらしい。ちなみに春海は引っ越しの準備をしているのだが、荷物の中から例の「犯人」が着ていたコートだとか、殺しに使われた凶器だとかが出てきた。完全にクロ確定というわけである。
で、ここからが問題なのだが……
春海の中の人格は多重人格である以上複数存在するわけなのだが、殺人を手がけていた人格は「ケンスケ」であった。自分が死なせた兄になり切っていたというわけである。男装すればイケメンの男にも見えるので、それで麻美とも関係を持っていたというわけなのだが。
謙介は結局、春海を警察に告発しない。証拠のテープレコーダーも隠滅してしまう。そしてケンスケを説得し、もう出てくるなと言って、春海の恋人となるのである。
そして結婚式。春海の中には実はもう一つの人格があって、そいつが謙介の命を狙っている、ということが明かされて、物語は終幕となる。
漫画「ルームメイト」3巻の感想
いやはや、なんというかサイコサスペンスというか心理的ホラーというか、そういった方面に振り切った作品である。
多重人格者が二人も出てくるご都合主義についてはちょっとあれっと思わないところもないではないが、まあ「普通なら出会うはずのない二人の多重人格者が出会ってしまったことで起こった悲劇」ということで説明されているのでよしとしよう。
この作品(というか、この作品の原作)の評価が高いのは頷けるのだが、一点。なんでも、結婚式でもう一つの人格が登場する結末は、バッドエンド的なもので、原作が文庫化されたときに削除されるかどうか作者がかなり悩んだ部分であったらしい。
しかし、凶悪な殺人鬼の人格をただ眠らせてめでたしめでたしというのは、個人的にはどうかと思うのでこれでよかったのではないかと思うのであるが。というわけで、紹介終わり。
ルームメイト
『鈴木先生』の奇才・武富健治が挑むのは、今邑彩によるベストセラーミステリー『ルームメイト』(中公文庫刊)。大学生の春海は、下宿先を探す途中で京都から来たという麗子と出会う。勢いで「ルームメイト」となることになった二人だったが、あるとき麗子が失踪。春海は「ルームメイト」の正体を探るうちに、深い闇へと迷い込んでいく――
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