漫画「メランコリア 下」ネタバレ感想!ギミック満載!何十回と読める作品!

メランコリア 下

道満晴明『メランコリア』下巻である。2巻組で綺麗に完結している。

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漫画「メランコリア 下」あらすじ

おおかたの予想通り、イニシャルが「Z」の作品までが描かれる連作短編の続きとなっており、Zで話は終わる。

ただ、各話に登場するモチーフが連鎖的に絡み合っていて、ウロボロスの蛇状態で、物語は循環しており、最後まで読むとついつい「伏線」が気になって上巻の最初から読み始めてしまい……とりあえず上巻は読み返したが、十回は読み通さないと伏線と物語の構造の全ては把握できないような気がする。

それくらいややこしい。ややこしいが面白い。

漫画「メランコリア 下」ネタバレ

Nursery story(おとぎ話)

人魚が出てくる。モチーフは童話『人魚姫』なのだが、王子様は登場せず、人魚が憧れて見ているものは「マラソンをする人間たち」。自分も走ってみたかったのだ。しかし、人間になった副作用でやがてその脚はダメになってしまい……。

Oui(応為)

いきなり時代が江戸時代になって、葛飾北斎の娘葛飾応為が登場する。タイムマシンの故障で乗って落ちてきた宇宙人が応為に渡したのは、遠い未来の「漫画」であった。

Pal(相棒)

知性を持った、職手のような人口義肢を付けられた男とその職種が友情をはぐくむ話。かなり『寄生獣』っぽいが、独特の味付けはやっぱり道満晴明らしさがにじむ。

Queue(行列)

ホラー掌編。映画館の列に並んでる人々が、次々に怪現象に巻き込まれて死んでいくが、映画はちゃんと上映されて、生き残った人々だけでそれを観る。

Rube goldberg machine(ループ・ゴールドバーグマシン)

ググってみたが「ループ・ゴールドバーグマシン」という言葉はちゃんと本当にある。分かりやすく説明すればピタゴラ装置のことなのだが。姉と弟の兄弟愛を描いた掌編だが、おそらくこの作品そのものがループ・ゴールドバーグマシンのような構造を持っていることを暗喩する作品なのではあるまいか。

Shelter/Screen(シェルター/選別)

彗星の衝突で滅びようとしている世界だが、シェルターを作って助かろうとしている人たちもいる。そんな話。

Tsuchinoko(ツチノコ)

物語全体のキーになる短編。ツチノコと呼ばれる神獣、しかしてその実態は二対に分かれた「ウロボロスの蛇」の片割れが登場する。これもループの伏線だろう。

Utopia(ユートピア)

だいぶメランコリアが地球に接近している。あるかどうかも分からない「シェルター」を探して彷徨う若者たちの話。

Vocation(使命)

この話の冒頭で一度地球は滅びてしまう。すると、前の話に何度か出ている宇宙人が時を巻き戻して、地球を蘇らせる。つまりループしているのである。

Wriggler(うごめくもの)

世界の滅亡、メランコリア彗星の来訪が、そもそも一人の少女がウロボロスの蛇に願ったためであることが判明する話。なお、このウロボロスはツチノコではない方。

Xroad(クロスロォド)

メランコリア彗星に向かって、ヒーロー「キッドナップ」が飛んでいく。

Yoke(くびき)

なんだかんだ色々あって、ヒーローたちの活躍でメランコリア彗星は押し返された。地球は救われた。

Zoo hypothesis(動物園仮説)

上巻の第1話の意味がここで明かされる。そして、話は冒頭へと戻るのである。

漫画「メランコリア 下」感想

メランコリア 下

道満晴明の「らしさ」が溢れまくった作品に仕上がっている。代表作に推してもいいかもしれない。まあ個人的には『ヴォイニッチホテル』の方を推したい気持ちはあるのだが、こちらの方が綺麗にまとまってはいるし。

この作品を読んで独特のケレン味に魅入られた方には、ぜひとも道満晴明氏の別の諸作品にも手をのばしてみることをお勧めしたい。


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