口入屋兇次【2巻ネタバレ感想】重厚感マシマシの布石の内容!

口入屋兇次(2巻)

口入屋兇次』第2巻である。

口入屋兇次【2巻あらすじ】

2巻は「織られた罠」というエピソードの1話から8話まで。「織られた罠」は3巻まで話が持ち越しとなる。

1巻でもそうだったのと同様、口入屋である兇次の差配で傾いていた店の経営が盛り返される……という話が展開されていくのだが、1巻の終わりの方にあったような荒事は「この巻では」あまり描かれない。「織られた罠」がそういう話でないからではなく、3巻に持ち越しという形だからである。

口入屋兇次

口入屋兇次【2巻ネタバレ】

口入屋兇次(2巻)

お江戸駿河町(現在の中央区日本橋)に楓屋(かえでや)という大店の呉服屋があり、そこに伊助という有能な手代がいた。兇次の仲間のひとりで、医者である零次郎が馴染みだったのだが、店に行ってみたら番頭が出てきて「伊助は辞めました」という。

そんな馬鹿な、と食い下がる零次郎だが、番頭はにべもないので、仕方なしに店の小僧を連れ出して事情を訊くことにする。すると伊助は、女がらみの事件を起こして百叩きの刑を受け、店を放逐されたのだと言う。

伊助の居場所(どこぞの寺)を探し出して見つけると、伊助は重症だったので零次郎は神楽坂にある自分の診療所に引き取ると言い出す。ところが、「医者からの迎え」と称して、明らかにチンピラとわかる連中が伊助の身柄を引き取りたいと言い出す。

兇次はめっぽう強いので、チンピラどもをあっさりと全滅させ(さすがにこの場面では殺してはいないが)、誰に依頼されたかと尋ねると「野狐(やこ)の左団次(さだんじ)」、通称「キツネ」と呼ばれる男であるという。兇次はその人物のことを知っていた。仲間ではないのだが、裏稼業同士顔見知り、と言ったところである。

キツネに会いに行くと、依頼人は万疋屋という、伊助が起こした事件の被害者とされる女性の父親であった。キツネは「殺しはあまり請け負いたくない仕事」で、兇次と敵対するのはもっとやりたくないということで、この件からは手を引くという。

いっぽう、神楽坂に移された伊助であるが、くわしく傷を調べると、百叩き(複数人で実行する)を行った人間の中に、殺意を込めて伊助を打った人間がいるらしい、ということがわかる。なかなかきな臭い話なのである。

結局、伊助は番頭の亥久蔵という男と、嘉助という伊助の同期の男にはめられたのだということがわかる。

それはそれとして、傷が治ったあと伊助をどうするかである。江戸時代の呉服屋の世界というのはそれはそれは厳しいもので、真偽はともかく一度悪い噂が立った人間が戻れるような世界ではないという。それでも伊助は「どんな形でも呉服や反物にかかわる仕事がしたい」というので、布も取り扱う古道具屋を紹介することになった。

伊助の商才は抜きん出たものであり、単に古道具屋の経営を手伝うだけではなく、呉服の着こなしなどを記した、いわばファッション誌とでもいうようなかわら版も売り出してこれが大いに当たった。

一方、三筋はそれと並行して、万疋屋の娘を篭絡しにかかっていた。この娘は年は若いのに色狂いで、かなり素行に問題があり、割とあっけなく変装した三筋のジゴロテクニックに参ってしまう。

そんなこんなでそれなりに平和なような日々が続いているかと思ったら、ある日白昼堂々、伊助は凶漢に襲われそうになった。護衛として伊助についていた四狼坊が腕まくりをしたところで、3巻に続く、となる。

口入屋兇次【2巻の感想】

口入屋兇次(2巻)

この巻はこの巻だけ読んで感想がどうというような話にはなっていないので、さくっと先に進むとしよう。3巻のご紹介をお待ちいただきたい。


口入屋兇次

口入屋兇次

原作・著者岡田屋鉄蔵
価格627円(税込)

江戸の町で職業斡旋を生業とする口入屋兇次。兇次の元には、職を求める様々な人間が転がり込む。ある夜更け、町外れの河原で一人の女が夜鷹に身を堕とそうとしていた…。江戸の人々の生き様を描く時代叙情詩開幕!!

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