もっこり半兵衛【5巻ネタバレ感想】コアなファンが多い徳弘正也の人情時代劇漫画!

もっこり半兵衛(5)

4巻の終わりで「いちおうまだ続いてる」と書いた後、ネット上で4巻完結説が流れまくってて不安になったりもしたのだが、やっぱりちゃんと出た『もっこり半兵衛』5巻である。

例によって電子版だけの販売だが。

もっこり半兵衛【5巻】あらすじ

例によって各話完結の漫画なので、ネタバレに進もう。

もっこり半兵衛(4巻)

もっこり半兵衛【5巻】ネタバレ&感想

もっこり半兵衛(5)

柳生十兵衛VSもっこり

有名な剣客、柳生十兵衛三厳は三代将軍徳川家光に仕えた実在の人物である。作中は八代将軍吉宗の時代であるわけで、いくらなんでも登場させるのは無理があるだろとタイトルだけ見て思ったら、「柳生十兵衛の亡霊が出る」という噂話が流れている、という話であった。で、半兵衛が見に行ったら十兵衛を名乗る怪しい侍が本当にいた。てっきり十兵衛の名を騙る牢人者かなんかかと思ったが、斬っても再生してしまう。本物の死人である。いくら斬っても死なないのでさすがの半兵衛も困るのだが、腕前自体は半兵衛が圧倒しており、なんと「かつて半兵衛に斬られた剣客たちの亡霊」が出てきて、十兵衛に向かって「負けを認めろ!」と言い出し、結局十兵衛は成仏したのであった。

文ちゃんが友だち

文ちゃんとは紀伊国屋文左衛門という豪商である。十兵衛と同じで、いちおう実在人物らしいが、この時期には既に隠居の身となっている。半兵衛のむすめのさおりが老文左衛門とたまたま友達、という設定で登場する。さて、大黒屋文七なる商人が突然半兵衛の住んでいる長屋を買い取って、家賃を二倍にすると言い出した。単なるごうつくにしては手口が妙なので、文左衛門がこれを怪しむ。一方、十兵衛は文七に直談判し、家賃値上げの件を考え直してくれ、と言う。文七は手下を使って半兵衛に乱暴狼藉を働く。半兵衛は、木刀でもいいから抜けば商家の手下くらい倒すのは簡単だが、立場上そうもいかないのでひたすら土下座する。そこに出てきたのが文左衛門である。「つまらねえ絵図を書きやがって」と言って、文左衛門は恐縮する文七の話を聞く。文七の目的は家賃などというはした金ではなく、半兵衛を介して文左衛門から彼が知る幕府の政策についての情報を得ることであった。半兵衛はひどい目に遭い損であるが、これもまたこの作品の「らしさ」ではある。

地図の謎

誰だか分からない侍が、数人の他の侍に襲われているところに半兵衛が行きがかった。とりあえず助けたが、傷は深く、「これを間部詮房に」と言って半兵衛に書を託し、死んだ。半兵衛が文左衛門と一緒に書を改めてみると、地図だった。どうも、幕府の陰謀の決定的証拠になる地図で、言われた通り間部に提出した場合吉宗の政権が転覆してしまうほどの影響力のあるものらしい。結局、半兵衛は天下大乱を嫌って地図を隠滅する決意をするのだが……。という話。この作品の吉宗はどうもかなりあくどい人物らしい、ということがよく分かる一編である。

夜鷹狩り

大岡が夜鷹の取り締まりをする、という情報がどこかから流れてきた。そこで半兵衛は夜鷹たちを守るために取り締まりを食い止めようとするのだが、夜鷹たちは文左衛門に授けられた策によってなんとか自分たちの身を自分で守り、半兵衛は無事であった。後でからくりが分かるのだが、大岡は捕縛した夜鷹たちを交渉の種にして、半兵衛を仕官させるというただそれだけの腹積もりであったらしい。単純に誰が善で誰が悪だ、という構造になっていないあたりがやっぱり好きだなあ。

猫に鈴

江戸の町に押し込み強盗が出た。それも、半兵衛の縄張りの中でである。実は強盗たちは半兵衛の存在を知っていて、けまろ(身体を売る芸者のこと。普通の芸者は身体は売らない)の女を見張りに立たせていたのである。そんな事件が二回も続き、さすがに半兵衛も怪しんだ。そこで身代わりとして友人の歌舞伎役者を代役に立て、けまろの気をひかせ、その間に強盗たちの仕事場を押さえ、犯人たちを(なぜか素手で)全滅させたのだった。けまろは利用されていただけだということで、見逃されてその後三味線引きになったらしい。


もっこり半兵衛

もっこり半兵衛

原作・著者徳弘正也
価格627円(税込)

月並半兵衛はある藩の剣術指南役。あることで脱藩し、江戸へ。ひょんなことで江戸の夜廻りの仕事を月一両ですることに…。それから八年。家族は、こまっしゃくれた八才の娘さやか。夜鷹の協力も得て江戸の夜の悪を退治するのだ。

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