チェンソーマンの作者の初期短編集、その2である。
目次
藤本タツキ短編集22-26【あらすじ】
本作というかこの巻も、収録作品は四つ。なので、別々に紹介していく。
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藤本タツキ短編集22-26【ネタバレ・感想】
人魚ラプソディ
いわゆるひとつのボーイミーツガールもの。『17-21』の頃のような粗削りな才気はなりを潜め、スタンダードな仕上がりになっている。と思ったら、作者自身によると「藤本タツキには普通の話は書けない」みたいなことを編集部に言われてムカついたからあえて普通の話を書いた、という経緯で生まれた作品だとのこと。なるほど。
主人公は人間と人魚のハーフの少年(母親の方が人魚。念のため)。この世界の人魚は割と凶暴で人間を襲って食べたりもするのだが、どういうものだかピアノの音色が好きと言う性質も持っており、それを媒介にして人魚の少女と仲良くなる話である。
目が覚めたら女の子になっていた病
これが書かれた当時はどうだったのだか分からないが、昨今流行りのTS(トランスセクシャル)もの。タイトルのまんまで、1ページ目から「目が覚めたら女の子になっていた」で始まる。そういう病気が存在する世界なのである。ちなみに、手術とかしてもまた女の子になってしまうので、治療手段はない。女の身体で生きていくしかない。さて、女になってしまった主人公くんにはなんと彼女がいる。いるのだが、女になった直後から、彼女ではなくその彼女の兄である相手が気になり始めるようになってしまう。心まで女になってしまったかもしれない、というのである。
だが、それを直接彼女に話すと、「セックスしよう」と言い出す。元から女だった方が、である。「できない、チンチンないから」とかいって騒いだりひと悶着あるのだが、「それでも自分は男でいたい、君の彼氏でいたい」というところに話は落ち着く。少年漫画なのにセックスセックス言うあたりはいかにもこの作者の作品らしいという雰囲気を感じる。
予言のナユタ
先に書くが、ものすごく画力が上がってる。完全にプロ級である。いや、これ書いてる頃にはもうプロなのかな?そこまでは調べてないです。というかこのナユタってのはヒロインの名前なんだが、ナユタってチェンソーマンでマキマが生まれ変わった後に登場する支配の悪魔の名前だよねたしか。スターシステム的なやつだったのか。さて、主人公はナユタという少女の兄である。ナユタは「予言の子」で、角が生えていて、奇怪な言葉で喋り、日ごろから行動が狂暴で、世界を滅亡させるとかなんとか言われている。真偽は不明だが。
話自体は、言葉でわかり合えない者同士がすれ違いを重ねながらも心を通わせていく、という種類のもの。ナユタが非常にいい味を出していて、かなり『チェンソーマンらしさ』がここまでくると出てきている。
妹の姉
読んで初めて気づいたが、この漫画ずっと前に読んだことがある。どこでどういう形で公開されたときに読んだのか覚えていないが、とにかくある。けっこう衝撃的な作品だった、という記憶がある。
内容は、美術学校に通う姉妹がヌードを描く話。妹はどえらいシスコンで、姉のヌードを(モデルになってもらったわけではなく空想で)書き、それがコンテストかなんか通り、堂々と飾られることになってしまう。姉はそれを受けて発奮する。で、自分自身で自分のヌード画を改めて書き、それがコンテストに通って、やっぱりそれも飾られることになった、という話である。
しかし、内容は覚えていたがこれの作者がチェンソーマンの作者だってことにたった今初めて気づいたのである。世界って狭いな。そういう問題でもないか。
藤本タツキ短編集22-26
藤本タツキ短編集 22-26
『チェンソーマン』を生んだ鬼才・藤本タツキの原点! 漫画賞初投稿作『庭には二羽ニワトリがいた。』から、思春期の熱情が暴走する『佐々木くんが銃弾止めた』、迸る恋心が全てを蹴散らすSFラブコメ『恋は盲目』、ネジがぶっ飛んだ殺し屋少女の恋『シカク』まで――剥き出しの圧倒的才能が炸裂する、初期短編集!!
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