『不滅のあなたへ』もはや9巻である。正直、連載の方は追っていないのだが、流石に週刊誌連載は刊行ペースが早い(なお、有名なことだとは思うが一応書いておくと週刊少年マガジン連載作品である)。
漫画「不滅のあなたへ」9巻あらすじ
重要な点なので先に書くが、前巻で敷かれた重大な伏線、「フシによる死者の蘇生」というテーゼについては本巻ではほとんど掘り下げられることがない。まあ、もっと先で伏線が生きてくるのだろうと思われる。
今巻はウラリス王国編がひと段落し、新しい章へと……進んだのだろうか?なにげにボン王子はレギュラーキャラになってそのまま次の章にも出てくる。つまり次の章は何十年後とかではないのである。ひょっとしたらウラリス王国編の続きなのかもしれない。
漫画「不滅のあなたへ」9巻ネタバレ
前巻の解説では掘り下げて解説しなかったが、ベネット教という、フシを敵視する宗教団体がある。フシもボン王子もそいつらに捕まっているのだが、フシは基本的に本質的には怪物なので、力技で脱出を果たす。
問題はボン王子の方である。ボン王子、なんとフシを救うために自ら犠牲となって、ベネット教の手にかかって死のうとするのである。フシには内緒で。
だがフシはボンの計略(とでもいうようなもの)を見抜き、処刑の寸前でボンを救い出すのであった。
この一連の騒動で、ボンは表向きは死んだということになった。もう王位継承は無理であるし、本人もそれには拘泥しなくなったらしい。ハルマキ男爵というテキトーな偽名を名乗り、フシとともに旅に出る。カハクも一緒である。
さて、時系列は前後するが重大な変化がひとつ生じる。カハクに憑りついているノッカーが、カハクの手を動かして地面に文字を書き、意思疎通を図るようになったのである。これによってノッカーの「目的」も明らかになった。「生きることは苦しいことだから、地上のすべての生命を肉体という牢獄から解放する」のが彼らの目的だそうである。甚だしく迷惑なこと極まりない。コミュニケーションが取れるようになったとはいえ、フシから見て絶対的な敵対者であることに変わりはないようである。
ノッカーとフシの戦いは続く。ノッカーがどんどん進化していくので、フシの方もそろそろ成長が必要になってくる。そういうわけで、少年漫画の定番、「修行」である。といっても、攻撃能力などを獲得することが目的ではない。ノッカーの位置が分かるようになる能力、というのを身に付けることをフシは試み始める。
理論的には可能であるらしい。フシが、なんというか、肉体を展延することで、神経野を伸ばすようにして知覚能力を高める、みたいな感じのことが可能であるらしいのだ。とりあえずの目標は、船をひとつ、フシの能力だけで作って組み上げることである。自分で作ったフィールドの中では、フシは高い知覚能力を発揮できるようになるらしい。
そんなこんなの悪戦苦闘が描かれて、フシは最終的に大きな成長を遂げる。9巻はそのあたりまでである。
漫画「不滅のあなたへ」9巻の感想
ノッカーと戦ってるのは随分と最初の方からだが、フシの方の動機づけがぐんとはっきりしてきて、またノッカー側の意志も判明してきて、いちおう話の中心がしっかりしたという感じがする。正直に言うとこの作品、最初の方は本当に茫洋としていてよく分からなかったし、今も「大魔王を倒しに行く」みたいな明瞭な目的は無いまま進んでいるわけではあるが、ともかく、話に芯が通った感じがするのである。
ところであまり説明しなかったが、ボン王子の変わりっぷりもすごい。道化めいた衣装とヒゲをやめたらだいぶイケメンになったのだ。どこまでも奥深いキャラクターである。
不滅のあなたへ
何者かによって”球”がこの地上に投げ入れられた。その球体は、情報を収集するために機能し、姿をあらゆるものに変化させられる。死さえも超越するその謎の存在はある日、少年と出会い、そして別れる。光、匂い、音、暖かさ、痛み、喜び、哀しみ……刺激に満ちたこの世界を彷徨う永遠の旅が始まった。これは自分を獲得していく物語。
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