漫画「夢で見たあの子のために」最終11巻。約5年に渡って紹介し続けてきたシリーズがとうとう完結である。
夢で見たあの子のために【11巻】あらすじ
火の男と若園と一登が決着をつけるために一か所に集う。千里もその場所へ向かうことになる。で、最終巻なのだからちゃんと決着がつくのだが、ネタバレ欄で詳しいことは解説することにする。
夢で見たあの子のために【11巻】ネタバレ
はじめ千里は人ごみの中で若園を探している。しかし追跡をまかれたうえに警察に捕まってしまう。捕まるといっても保護されるということなのだが、ともかく連れていかれてしまった。
千里はしかし、一登の知覚を共有する能力を持っているわけなので、一登がとある廃洋館(レストランだった建物らしい)に向かっていることを知覚する。で、女刑事に頼んでそこに連れて行ってもらう。女刑事は見張りの警官に「ちょっとシャワーに行かせてくる」と称し、千里を連れ出す(警官は明らかに気付いているが見逃してくれる)。
一方、一登は突然、警察官の扮装をした二人組に銃撃された。かろうじて弾を避けることには成功したが、警官が自分を狙っているのか、これはまずい、と思っていたら火の男が現れて、その偽警官(一登に過去の因縁があったとかで若園に協力を申し出ていたチンピラ)を瞬殺し、一登とともに先へ進んでいく。
若園は自分の仕掛けた罠が通用しなかった(二人とも無傷で自分のところに来るとは思っていなかった)ことに驚愕しているが、細工はまだある。手りゅう弾(どっから手に入れたんだ……警察の官給品に爆弾はないだろう)を投げつけたのである。
狭い建物の中で手りゅう弾は恐るべき兵器であるが、火の男が一登をかばった。手りゅう弾を全部手元に集めて、自分の体で爆風を全部受け止めたのである。もちろん、生身でそんなことをして無事でいられるわけがなく、百戦錬磨の火の男はとうとうこれで死亡した。父親らしいことをこの男がするなんて意外だ、みたいなことを一登も若園も思っている。
それはそれとして、若園はまだ満足していない。一登も殺すつもりなのである。なぜかというと、実は若園の父が死んだとき、ふいうちで彼を刺したのは一登だったから(火の男の回想シーンで出てくる。若園は推理だけでその事実を突き止めたらしい)。
ここで若園と一登の対決シーンになるのだが、一登は頭のなかの銃弾のけがが悪化して目が見えなくなってしまう。それに気づく若園、回り込んで射殺しようとするのだが、間一髪、防弾チョッキをまとった千里が現れて弾を受け止め、若園は戦いに敗れた。
そして若園はまだ弾が残っていたので自決しようとするのだが、千里がぶんなぐって止め、逮捕された。一登と千里、ついに再会である。が、一登は別れの挨拶だけして、すぐ死んでしまった。
そしてその後。千里は一登の遺児を苦労の末に探し出し、その子を養子に迎えることにしたのであった。エピローグ。劇終である。
夢で見たあの子のために【11巻】感想
いやー、読んだ読んだ。11巻はそんな長いってほど長くはないが五年は長かった。ちなみに、最終巻でぜったいそうなると思ってたんだけど千里と恵南がくっつくところは別に描かれなかった。くっつかないという描写があるわけでもないけれど。
最後だからもう一回くらい彼の話をしようと思う。ピスタチオヤクザ。名脇役であった。
現実のヤクザというものがどういうものであるのかはともかく、一種理想化されたフィクションの中のヤクザとしてはよいキャラクターであったと思う。素人を巻き込まないとか、仁義を通すとか、そういうのをちゃんとやっている感じで。
作品全体について言うと、主には謎解きとサスペンスがメインで、そこに人情劇の味付けがあるという感じの流れであったが、「安心」して読める、よい作品であったと思うよ。最後まで読んでみれば。それでは、ありがとうございました。
夢で見たあの子のために
幼少期に家族を惨殺された中條千里は、ただ復讐を果たすためだけに生きている。生活の全て、学校の全て、復讐という目的を果たすのに必要な力とお金を得るため、自分が汚れるのも厭わない…。心配する幼馴染み、残された肉親の思いも振り切って果たそうとする、人生の全てを懸けた復讐劇の先にあるものは、果たして千里に何をもたらすのだろうか?メディアミックスで話題になった「僕だけがいない街」の著者が新たに紡ぎ出すヒューマン・サスペンスがここに開幕する!!
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