終わっちゃいました。ヤオチノ乱、完結の3巻である。
ヤオチノ乱【3巻あらすじ】
2巻で(めっちゃまいて)試験編が終わったわけだが、試験の直後にいきなり実戦である。敵は誰かと言うと、今度は他の忍者とかではなくてCIA。言わずと知れたアメリカの諜報機関である。
CIAと忍者が何をするかというと、なんかよく分からないが「ファイル」なるものを奪い合う。
CIAを裏切って殺された人が上野のどこかに隠した「ファイル」を、まず主人公たちが見つけて、そして上司(有能な忍者の皆さん)に渡し、奪取した上で生還するのが目的だ。
ちなみに「ファイル」だが、中身についてはあんまり描写もされていないので気にしなくていいと思う。とにかく、CIAにとっては国家の威信がかかるほど重要な何か、である。ちなみにスパイ小説とかミステリーの世界の用語で、こういうのは(あまりいい意味ではないが)マクガフィン、と呼ばれる。
ヤオチノ乱【3巻ネタバレ】
本当に脈絡なく突然、CIAが出てきて、裏切者のサンダースがどうだとか言い始める。そのサンダースはCIAを裏切って、日本の公安警察に情報(だかなんだか、とにかく例のファイルである)を渡そうとしている。結局、公安警察は失敗してしまい、サンダースは殺され、ファイルはサンダースがどこかに隠したとかで行方知れずになる。公安警察は困ったので、忍者に仕事を依頼する。それが主人公たちである。
ちなみに試験に合格したので、二人は姓を名乗ることを許されるようになっている。八百蜘(やおち)霧音、ならびに八百蜘真夜である。別に兄弟とかではないが。
さて、問題はファイルがどこに隠されているかということである。超能力とかは出てこない世界なので、ファイルはサンダースが通った道筋のどこか、つまり上野駅を出て、あちこちをうろつきまわって、アメ横のあたりでCIAの追跡を受けていることに気付いて商店街などを逃げ回り、最終的にどこぞのビルの屋上で殺された、そのどこかにあるということである。
ファイルなるものであるが、だいたいサイズは文庫本一冊くらい。仮にアメ横にあるとして、アメ横ってひと口に言っても結構広い。さて、どこに隠したのだろうか。
あてずっぽうで出鱈目なところに隠した、とは考えにくい。何故ならサンダースは、自分が殺害され、誰かがファイルを探す事になる可能性を考えていたはずだからである。
というわけで二人があちこち探していると、なんだか手がかりのようなものを見つける。色紙で作られた、符牒のようなものだ。結局、ヒントを辿ったところ、ファイルは上野公園の中、神社の花壇の中に隠されていた。この時点で、CIAを出し抜いたわけである。
しかしCIAもさるもの、二人はあっというまにCIAのエージェントからマークされてしまう。上司であるところの名うての忍者たちでも、二人に接触してファイルを回収することができない。
で、危機的状況の中、真夜が動いた。そこらへんにいた通行人が転んだのを見かけて、「大丈夫ですか!」とか大声で声をかけたのである。
なんでこんなときにそんなことをする?と思うのは味方も敵も同じで、「こいつは忍者なんかではないのでは?」と思ったCIAのエージェントの人は一瞬隙を作ってしまい、その隙に霧音はファイルを上司(実の兄)に渡すことに成功した。
あとは逃げるだけである。敵は追っかけてくるが、「エスカレーターを昇って、髪型を変えてまた降りてくる」と言う渋い手法で敵を撒き、霧音は生還を果たす。
というところで、いきなり後日談的に「忍者が日本の諜報組織として活躍することになりました」という話が語られて、まああからさまに打ち切りと分かる感じで、終了となる。
ヤオチノ乱【3巻の感想】
とても渋好みな、よい作品であったと思う。終わってしまったのは残念であるが、次作に期待するとしよう。
ヤオチノ乱
現代に忍者は生きている――。スパイ天国と称される我が国にあって、本当は世界最強の諜報集団が存在し、護国の柱となっているのをご存知だろうか? いわんや忍者のことである。「八百蜘」なる一族に生まれ育った少女・キリネは、とある「大会」に参加していた。その表向きの目的は、日本代表の忍者を選抜すること。しかしその実態は、四日以内に他の参加者を間引かなければ自身が絶命するという凄絶なるサヴァイバルであった。