『センコウガール』全5巻の第2巻である。今巻では挫折したアスリートの少女、隼子(としこ)にスポットライトが当たる。
漫画「センコウガール」2巻あらすじ
のだが、冒頭は英子のシーンの続きである。まだ屋上にいて、降りしきる雨の中で民子のさっきの異常な言動について考えていたのだが、うっかり足を滑らせて転落死しかける。死にもの狂いでかろうじて屋上に這い上がるのだが、その際怪我をしてしまい、その痛みの中で英子は生きているということの意味を噛み締めるのだった。
英子は翌日学校を休んだので、「まさか民子に殺されたのではあるまいか」と、若干飛躍した噂話が流れ始める。
そんな中、民子は今度は隼子に声をかける。なんだかキラキラした顔と、妙に荒い息で。
漫画「センコウガール」2巻ネタバレ
隼子というのは、もともと父親が有名な陸上の選手だったという出自の持ち主で、親の意思で陸上の選手を目指していた。しかし才能の限界に突き当たり、過度の減量で生理も止まってしまい、そんな頃にちょっとした事故で足に大怪我をし、事実上再起不能の状態に陥り、荒れているのである。
さて、民子はそのような事情で日頃から「死んでしまいたい」みたいなことを口にしている隼子を追い掛け廻し、本当に殺そうとする。英子のときと同様、動機はイジメに対する復讐というわけではない(これの全容が明かされるのは最終巻になってからである)。
「英子に何かしたんだろ」と問われ、民子は不気味な笑顔で「うん。殺してあげようとした」と語る。
隼子は顔面蒼白で、助けを求めて叫びながら逃げるが田舎なので誰も助けには来ない。ついにどこかの海岸の消波ブロック際に追い詰められ、ナイフを突きつけられる。
民子は語る。「私は七子を殺してあげられなかったことをすごく後悔してる」と。
「あの日七子は黒い箱に閉じ込められていて、虚ろな目で死にたいって繰り返していた。だからつい、殺してあげようかって言っちゃった。そうしたら七子はすごく穏やかな表情で……」などと語りは続くのだが、いま現に自分にナイフを突きつけられている隼子にとってはあまり重要ではない話である。
「わけがわからない」と言う隼子に対し、民子は絶叫する。
「私は死ぬのはイヤ!」
初読の読者にはさっぱり意味が分からないだろうし、隼子にも意味がわからない。ただ、民子は言う。
「ああ、大丈夫。私人を殺すのは初めてじゃないから」
隼子は素直に思う。(英子でも七子でもないなら……誰を……?)この作品がわけわかめなようでちゃんとミステリーしているのはこのあたりである。
「ねえ、あなたは本当に死にたいんでしょ?」という民子に、隼子もついにキレる。「おまえなんかに何が分かる!おまえが死ね!」すると民子からは激しい反応が返ってくる。「嫌だ!」
結局、掴み合いもみあいの末に、隼子は逃走し(全く走れないというわけではない)、窮地を脱するのであった。
2巻最後のシーンでは、民子は家に帰ってくるのだが、庭になんか盛り土のようなものがあって、そこにハエが大量にたかっている。ていうか、指見えてる。土からはみ出た人間の指が。
漫画「センコウガール」2巻の感想
エキセントリックさがどんどん増していく民子であるが、起承転結でいえばこのあたりはまだ「起」である。全5巻中の2巻までが終わったが、まだ「起」なのである。
あらすじの流れの中で語れなかった重要な部分としては、民子の母親の存在がある。
母親には彼氏がいたらしい、ということ。あまり(というか全然)いい母親ではなかったらしいということ。ざっくり見ればほとんど虐待家庭なのだが、起承転結の起の段ではそういったことがテーマなのかと見せかけて、やっぱりそこは本題ではないのがこの漫画の侮れないところなのである。
センコウガール
七子(ななこ)が死んだ。同時に生まれ変わったような姿で現れた美少女不登校児・如月民子(きさらぎたみこ)。彼女に「名指し」された3人のクラスメイトは、民子の狂気の行動に追い詰められていくが…? 民子の真 の目的は、復讐か、それとも…?? そして民子の自宅の「腐乱した何か」の正体は?? いじめ、マウンティング、毒親…… 全ての「女の子」の呪縛を解き放つ、ガール・ミーツ・ガールミステリー!
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