口入屋兇次【3巻ネタバレ感想】硬派な時代劇漫画…結末へ!

口入屋兇次(3巻)

口入屋兇次』、完結の第3巻である。

口入屋兇次【3巻あらすじ】

本巻は2巻から続く「織られた罠」の結末まで(4話)と、最後の5話を使って「貞女(さだめ)の始末」というエピソードが描かれる。といっても「貞女の始末」はいちおう「織られた罠」から連続した内容になっており、2巻で変装した三筋に篭絡されていた万疋屋の娘お貞(さだ)のその後を描いた話である。

口入屋兇次(2巻)

口入屋兇次【3巻ネタバレ】

織られた罠

巻をまたぐ間に、四狼坊は凶漢たちをあっけなく始末していた。一人だけは口を割らせるために生かして連れ帰っている。もう亥久蔵と嘉助の犯行であることはほとんど確定している状況なのだが、それでも兇次たちは最低限の裏取りが済むまでは慎重に行動するのである。

さて、凶漢はいくら拷問されても、「依頼をよこした使いは子供だった」という事実しか吐かなかった。拷問のプロでもある零次郎が徹底的に絞った上での結果なので、嘘ではないだろうということになる。

するとその子供というのは誰かということなのだが、兇次の勘が答えを告げた。2巻の紹介で少しだけ出てきた、楓屋の小僧の人相描きを作って凶漢に見せると、果たして反応があった。

ところが、その小僧も自殺に見せかけられて殺されてしまっていた。これも亥久蔵と嘉助の犯行であった。というわけで、亥久蔵と嘉助を始末することを一同は決意する。

夜間にこっそりと身柄をさらい、二人を拘束して締め上げると、亥久蔵はあっけなく口を割って事の次第を喋った。小僧を絞殺したのは嘉助であるという。だが、亥久蔵はこの期に及んでまだ命乞いをする。自分は殺しはやっていない、というのである。

ちなみに亥久蔵は店の金を数百両も横領しており、江戸時代の罪刑法定に照らせば十分死に値するのだが、兇次は直接は亥久蔵を始末しなかった。自分の手で嘉助を殺したら命だけは見逃してやる、という言葉に従ったからである。

ただし、亥久蔵は鉱山に事実上の奴隷として送られた。死ぬまで二度と地上に出て、太陽を拝むことはできないのであった。

そして伊助は、古道具屋の娘婿に収まり、その後も商いに精を出したのであった。

貞女の始末

ラストエピソードである。

三筋に篭絡された貞はひそかに、毒みたいな効果が出る薬を盛られていた。死にはしないが、顔に出来物ができたりとかいろいろするのである。そして、梅毒であると嘘を教えられた。嘘なのだが、身に覚えがある貞は素直に信じる。

で、これも兇次の知人であるらしい、七宝院という背中に物凄い入れ墨の入ったなんかすごそうな尼が治めている七仏寺という寺に預けられた。貞はわがまま娘であるのではじめのうち手が付けられなかったのだが、寺で多くの人と関わるうち、心を入れ替えてまじめに働くようになり、薬の効果が切れた後はどこぞに奉公に行くことになったのであった。終わり。このエピソードには、血生臭い「必殺仕事人」的な逸話はない。割とあっさりと終わりである。

口入屋兇次【3巻の感想】

口入屋兇次(3巻)

この『口入屋兇次』はだいぶ前から紹介しよう紹介しようと思いつつ、なかなかタイミングがなくて延ばし延ばしになっていた作品である。

ここまで読んでいただいた方には今更の話であるがこの作品は時代劇である。時代劇の漫画は、はっきりいって人気があまりない。なかなか売れない。だが、決して面白い作品が現代において書かれていないというわけではない。

この機会に、鬼才・岡田屋鉄蔵(崗田屋愉一)の名を知る方が少しでも多くなっていただけたら、重畳この上もない次第である。というところで、筆を置かせていただこう。


口入屋兇次

口入屋兇次

原作・著者岡田屋鉄蔵
価格627円(税込)

江戸の町で職業斡旋を生業とする口入屋兇次。兇次の元には、職を求める様々な人間が転がり込む。ある夜更け、町外れの河原で一人の女が夜鷹に身を堕とそうとしていた…。江戸の人々の生き様を描く時代叙情詩開幕!!

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