吾峠呼世晴短編集【ネタバレ感想】鬼滅の刃ファン必見の初期短編集!

吾峠呼世晴短編集

説明不要の大ヒット作『鬼滅の刃』の作者の、初期短編集である。ちなみに筆者は、鬼滅の刃は全巻読破している。映画も観ました。

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吾峠呼世晴短編集【あらすじ】

吾峠呼世晴短編集

4つの短編が収録されている。

第70回(2013年)JUMPトレジャー新人漫画賞佳作、つまり投稿作品、『過狩り狩り』。こう書いて「かがりがり」と読む。

少年ジャンプNEXT!!2014年vol.2『文殊史郎兄弟』。週刊少年ジャンプ2014年39号『肋骨さん』。同じく2015年21号『蝿庭のジグザグ』。

吾峠呼世晴短編集【ネタバレ】

吾峠呼世晴短編集

過狩り狩り

作者が最初に漫画家として世に出るきっかけになった作品であり、同時に『鬼滅の刃』のパイロット版にもなった作品。

「西洋から吸血鬼が日本にやってきて、日本に元からいた吸血鬼と対立する構図が産まれ、日本の吸血鬼たちは日本の吸血鬼狩りを呼び寄せて外来の吸血鬼を退治させる」という話である。それはいいのだが、パイロット版なので、鬼滅のキャラクターにまるっきりそっくりな人物が混ざっていてなかなか愉快。

文殊史郎兄弟

蟲を操る兄弟の殺し屋が悪人を成敗する話。連載にするためにいろいろ設定が練られているらしいのだが、結局連載はされなかったので、死んでいる伏線がいろいろとある。

肋骨さん

ジャンプに乗った読み切り。筆者は今回初めて読んだので噂程度に聞くだけなのだが、これがかなり評判がよく、鬼滅の刃が始まった当初は『肋骨さんの人』と作者は呼ばれていたような感じだったらしい。

物語のプロットとしては、アバラという浄化師が「邪氣憑き」を討伐するという内容。髪の毛に執着する邪氣憑きの女と、“羽衣”という神器を用いてアバラは戦う。バトル描写、そして登場人物の死生観などにかなり『鬼滅の刃』と通じるものが現れてきている。

蝿庭のジグザグ

これは連載用に練っていたプロットを、事情があって読み切りに組み直したとのことで、やっぱり死んでいる伏線がいろいろとある。植物を操る呪術使いが、言霊を操る呪術使いの殺し屋を懲らしめるという内容。

吾峠呼世晴短編集【感想】

吾峠呼世晴短編集

「初期作品集」というのは特殊な位置づけのものである。まず、「処女作品集」と「初期作品集」は似て非なるものだ。処女作品集というのは単にデビュー作が短編集だというだけの話だが、初期作品集というものは基本的に、売れないと出ない。例えば鳥山明の場合、『鳥山明○作劇場』という作品集があるのだが、これの一巻目が出たのはDr.スランプがヒットした後である。

この短編集も、ぶっちゃければ『鬼滅の刃』が売れなければ世に出ることはなかったろう。

収録作品は、はっきり言えば未熟である。4本、時系列順で収録されているので成長の痕跡が非常にはっきりと見て取れる(特に過狩り狩りと次の作品の間で、画力の進歩が凄い)ので、この作者のファンアイテムとしての価値は高いが、純粋に「一つの短編集」として見るのはちょっと辛いものがある。正直に言えば。

しかし、鬼滅の刃のファンが読む分には、鬼滅の刃の誕生に至るまでのプロセス、作者の成長ぶりなどが分かるようになっているというわけで、そういう意味では非常に興味深い作品であると言えよう。

ところで、この本と直接は関係ないことではあるが、鬼滅の刃の二期アニメ化(TVアニメ)が決まったとのことで、これは実にめでたい。なかなか発表されなくて、いろいろと気を揉まれていただけに。

さて、この本を読む場合の位置づけだが、「まずは短いので」ということで読んでみるのなら、とりあえず『肋骨さん』をおすすめしたい。逆に、これが面白いと感じるなら『鬼滅の刃』が面白いと感じることは疑いもないので、そっちに進んでみることをお勧めする。

というわけで、本作品の紹介はこれまで。


吾峠呼世晴短編集

吾峠呼世晴短編集

原作・著者吾峠呼世晴
価格459円(税込)

週刊少年ジャンプの俊英・吾峠呼世晴の軌跡―― アニメ化も果たした連載デビュー作『鬼滅の刃』の前身となる『過狩り狩り』、本書のカバーを飾る異色作『文殊史郎兄弟』、掲載当時も話題を呼んだ『肋骨さん』『蠅庭のジグザグ』の読み切り四作品を収録。鬼才・吾峠呼世晴の神髄、ここにあり!!

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