幻と言われた樹るうの漫画「娘々TON走記」2巻のあらすじ・ネタバレ感想

娘々TON走記(2)
娘々TON走記(2)
作品名:娘々TON走記(2)
作者・著者:樹るう
出版社:竹書房
ジャンル:青年マンガ

漫画『娘々TON走記』2巻のあらすじ

2巻である。変化解呪の仙薬を集めるための大冒険は続く。

続くのだが、四つ目の薬を持っているのは、変化術をかけた張本人、例のガチムチ仙人である。ちなみに彼の名は錦玉という。錦玉も、奇人変人ではあるが仙人の一人には違いないので、それらしいアジトを持っている。旅の途中でそこを訪れ、ひと騒動あるが、結局この時点では錦玉自身が作る解呪薬は手に入らない。

さらに旅は続く……かと思いきや、路銀が尽き、とある港町に長逗留する羽目になったりもする。こういうあたり、実に展開がフリーダムである。

金玉のアジト(胡洞仙という)を除くと、残っているスポットはあと三つ。妖怪の住む山と、砂漠と、そして崑崙(中国の伝説に登場する、仙人の住まう架空の世界。この作品では神界と呼ばれている)である。

2巻はほとんど、砂漠の冒険だけで話が終わる。最後の方で崑崙に辿り着き、崑崙に在する大仙人である彭祖(これはこの作品のオリジナルのキャラ名ではなく、中国の有名な伝説的仙人。神話によっては神ともされる)に遭遇する。

娘々TON走記 (1)

漫画『娘々TON走記』2巻のネタバレ

掲載誌が掲載誌であるという背景もあって、はっきりとしたアダルトシーンなどはまったくないのだが、しかしなんとなくそこはかとなく、色めかしい話が多くなってくる(とはいえ、ちょっときつめの少女漫画の方がよっぽどきついというレベルだが)。

砂漠篇はちょっと面白いので詳細に話を起こそう。

まず、一行はなんとかいう名前の大砂漠に辿り着き、「この砂漠には天女泉があり、美しい天女たちが(性的な意味で)もてなしてくれる」という噂話を聞きつけ、そこに実際に行ってきたことがある、あそこは楽園であった、しかしもう一度行こうと何度試みても二度と行くことはできなかった、という昔語をする老人に遭遇する。どうやら、解呪の仙水もそこにあるらしい。

で、天女泉と称せられる場所に辿り着く。

結論からいうと砂漠に天女はいない。なんていうか、いるのは喋るヤシの木の群れである。彼らは人間に幻覚を見せ、しばらくその場に逗留させる。その理由というのが……「肥料や、タンパク質を、外部の人間を誘い込んで入手しなければならないから」。詳述は避けよう。なお、同じ人間が二度と同じ場所に入り込めないのは、同じ人間に幻覚をあまり見せすぎると中毒症状を起こしてしまうからヤシの木の方で遠慮しているため、である。

さて、この砂漠でも、いろんな試練の末に超万里は解呪の薬を手に入れることに成功する。

それはいいのだが、それだけではなく、一夜だけだが、完全に元に戻った姿になることができる。それによって、三姉妹(というか、主には紅蘭)が、初めて万里の本当の姿を目にすることになるのである。ここから、紅蘭も万里に対してまんざらでもない、という感情を抱き始めるようになる。万里の方はといえば、一晩でまたブタに戻ってしまうのでやれることはなにもないのだが、紅蘭を妃に迎える具体的な算段を付け始めているという次第である。

漫画『娘々TON走記』2巻の感想

天女泉に始まり天女泉に終わるというような巻である。設定といい筋書きといい、良くも悪くも、今のこの作者の作品の中には絶対に出てこないプロットであろう。前巻感想で書いた、初期作品ゆえの荒削りな魅力とはつまりこういうことだ。

さて、この作品が幻と呼ばれるようになった経緯の続きをしよう。

そもそも、樹るうという作家の単行本が初めて世に出たのは、『出たとこファンタジー』という作品である。これもこの作品に似ているのだが、こっちは西洋風ファンタジーだというのが最大の違いだ。

その作品が、ずっと後になって、経緯は忘れたが単行本化された。そこそこに売れたらしい。それで、樹るうという作家はその後、4コマ専門雑誌などでよく見かけるようになった。しかしそれでも『娘々TON走記』の単行本は出なかったので、幻と呼ばれるようになったというわけなのだ。それで、樹るう自体に人気が出てきたこともあって、幻として知られるようになったこの作品もついに単行本化されたというわけなのである。

では、次が最終巻となる。話は大きく動き、大団円を迎える。こうご期待。

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