チクサクコール【あらすじ・ネタバレ】うすた京介の初期短編集!読み切りエピソード9本が収録!

チクサクコール

表紙にも書いてあるからお分かりかと思うが、うすた京介の短編集『チクサクコール』をご紹介する。単行本として出たのは2001年、しかし収録作品はもっと古いので、つまりいわゆる初期短編集である。ジャンプで売れると出るやつ。

『チクサクコール』のあらすじ

チクサクコール

まずうすた京介とは誰かという話だが、週刊少年ジャンプのギャグ漫画家で、代表作は……アニメにもなったし『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』だろうなあ。一番長く続いたのは『ピューと吹く!ジャガー』で、これは全20巻も出ている。

載っている作品自体は内容がバラバラなので、何篇か選んで紹介していくことにする。ちなみに、以下は掲載順通りだが、書かれた年代の順に並んでいるわけではない。

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『チクサクコール』のネタバレ&感想

チクサクコール

ザ★手抜きくん対物酢御くんパァト1

表紙と内容の2ページしかない作品。中学生かそこらの頃に書いたもので、「手抜きで描かれたキャラクターとものすごく書き込まれたキャラクターが野球で対決するという、11コマのギャグ作品。正直言って、別にまったく面白くはない。面白くないんだが、いちおうこれがこの作者のデビュー作(ジャンプでは、賞を取った作品をデビュー作と呼んでいる)にあたるらしい。この1ページの漫画を読んで、うすた京介の才能を見抜いた編集者のすごさには感服させられる。が、面白くはない。

もうちょっと右だったらストライク!!

ギャグ要素を残してストーリー漫画を描く試み。だそうである。野球の審判がテーマ。執筆順で言うと掲載されている中ではもっとも新しい。『マサルさん』より後の作品なのでマサルさんのキャラクターのそっくりさんたちが出ているのがちょっと面白いが、正直、ギャグマンガとしてもストーリー漫画としても微妙。

それゆけ未確認飛行物体男

デビュー後、赤塚賞で佳作を取ったという作品。まだかなり絵が下手で、内容ものちの作人に比べればだいぶ微妙なのだが、のちの作風に繋がるいろいろな要素が現れ始める出世作的位置づけの作品。だそうである。

男一匹セニョリータ

『マサルさん』の連載開始直前に描かれた読み切り。言うなれば脂が乗り切った時期の爆発力のある作品というわけで、この短編集の収録作の中では圧倒的な輝きを放っており、はっきりいってこれを読むためだけでもこの単行本を買う価値はありすぎる。いちおう内容にも言及すると、主人公の名前が『磯野カツ夫人』。これがものすごくインパクトが強くて、主人公が黒板に『磯野カツ夫……』まで書いてから『人』と書き足し、「磯野カツ夫人です』と名乗るワンシーンを掲載誌で見たときのことが忘れられず、これが読みたくてこの単行本を今更ながら買ってこうして紹介しているのである。話の内容自体はどうということもない学園コメディなのだが、ギャグがとにかく冴えている。今読んでも笑える。

忍者部隊ゲンバリング・ボイ

ここまで言及していないが『マサルさん』の次の連載作品である(しかし短命に終わった)『武士沢レシーブ』という漫画の連載開始直前に描かれた作品。だいぶギャグの雰囲気が変わっていて(というか意図的に変えたんだそうだけど)『武士沢』のパイロット版的なところがある。これも学園ものなんだけど、主人公に相棒の女の子がいるのが特徴で、そのへんも『武士沢』と同じ構成。

エト

『忍者部隊ゲンバリング・ボイ』より前に描かれた、どっちかというとギャグ度よりストーリー性の高い短編漫画。SFで、主人公の通称「エト」は異星人である。毛が生えていてモフモフしている、人間大の異星人なのだが、つけ耳をつけて「自分はウサギだ」と言い張っている(彼自身はウサギというのが何なのかすら知らないのだが)。話自体は、地球を滅ぼしにやってきた異星人が地球人との交流の中で地球人との友愛に目覚めるという、まあどっかで見たような作品ではあるのだが雰囲気的には優しくて好き。

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