人間がアメーバ状に溶けていく!漫画「粘菌人間ヒトモジ」内容やネタバレ感想

粘菌人間ヒトモジ

漫画「粘菌人間ヒトモジ」は『イキガミ』『キョウイチ』などで知られる間瀬元朗先生の新作マンガ。新種ウイルスが蔓延して20人に1人は保菌者となった世界。保菌者は極度のストレス状態に陥ると粘菌人間こと通称ヒトモジに変質する症状を発症する。

この漫画はヒトモジ保菌者と彼らの命を救おうとする組織の生き様を描いた人間ドラマ漫画になっている。

「粘菌人間ヒトモジ」第1巻では1章、2章と別れており2人の保菌者の生き様が描かれている。設定の作り込みが凄まじく濃い人間ドラマを描いた作品。ボリュームも多く1巻で綺麗な終わり方をする。これ続刊でるのかな…。是非、続刊も読みたい程、面白かった。

漫画「粘菌人間ヒトモジ」ネタバレ

第一章:真実の愛

映像配給・制作会社に勤める古賀といった男が一章の主役。彼に襲いかかるストレスは会社の倒産、離婚、娘との面会謝絶。極度のストレス状態に陥った古賀はヒトモジ状態へ。

ヒトモジには段階があり、ストレス度合いによってアメーバ状に溶ける⇒硬化⇒子実体へと変化していく。子実体になると上部に胞子を蓄え破裂すると胞子が飛散、発症者は死亡する。ちなみにヒトモジ菌はこの胞子の飛散によって感染するらしい。胞子さえ吸引しなければ感染を防げる。またヒトモジ発症者は子実体になる前にストレスから解放されると元の人間状態へと戻ることができるのだ。

古賀はアメーバ状から徐々に硬化していく過程で保護された研究施設から脱走を図る。行き先は娘の所だ。娘に誤解された状態、面会謝絶状態のままではストレスから解放されないと悟った古賀はアメーバ状態で妻と娘がいる場所まで向かう。

娘と会い、誤解も解けて一時はストレスが減少してヒトモジ状態から解放されそうになるが、大好きな娘からの質問が首を絞めることになり子実体となり胞子が破裂してしまう。

第二章:依存症

アルコール依存、恋愛依存の女性:紗江が主役だ。
紗江には彼氏:淳史がいたが何も言わずに紗江の前から立ち去っていく。淳史とヨリを戻すため次第に逃げた淳史を追いかけるように。だが淳史には新しい彼女も出来ていた。心をズタズタにされた紗江は極度のストレスからヒトモジを発症。

第一章と同じくヒトモジ発症者を救う組織である粘菌CCのメンバーが紗江を救おうとする。

ただ、彼女はストレスの原因を喋ろうとしない。また脳とアメーバ質が同期しておらず体が勝手に動いてしまう状態。研究室へ向かう搬送車を脱走してBARへ向かう。浴びるほどアルコールを摂取した紗江が次に向かった先は淳史の居場所。

淳史、淳史の現彼女と対峙することで徐々に本性が現れていく紗江。

粘菌CCメンバーの協力もあり淳史と向き合いストレスから解放されることになる。紗江の放つ『好かれた側の責任の取り方』は心に刺さる名言ではないだろうか。彼女の体は再生成され通常の生活へと戻り、幕を引く。

漫画「粘菌人間ヒトモジ」感想

粘菌人間ヒトモジ

緻密な設定と濃いぃぃぃ人間ドラマが魅力

ヒトモジに関する設定が緻密なのだ。
発症から死亡に至るまでの過程、アメーバ質の有害性、感染経路など事細かく第一章で説明されている。ストレスによって人間がアメーバ状になると言うブッ飛んだ設定ではあるが練り込まれたヒトモジ菌の設定は秀逸だ。

そして人間のストレスは心の闇でもある。
各章のヒトモジ発症者が抱えるストレスは決して漫画だけの世界ではなく、現実で同じ状況になっても考えられるリアルな心理描写なのだ。ストレスとなる闇を抉り出さないと解放されないため、そこには非常に濃い人間ドラマが形成されている作品だ。

漫画「粘菌人間ヒトモジ」はこんな人にお勧め

生か死か…。
瀬戸際に立たされた人間の『リアル』が描かれている漫画が好きな方はハマること間違いなし。後は隙のないヒトモジ菌の設定も面白い。

心を解き放ち、ストレスを解放していく発症者達。ストレス社会と言われる現代。ストレスを解放できずに命を落としていく人も多い。もしかしたらこの漫画がストレスから解放する勇気をくれたり、糸口を与えてくれるかもしれない。

実生活でストレス過多に悩んでいる人も是非、手にとって読んで欲しい漫画だ。


粘菌人間ヒトモジ

粘菌人間ヒトモジ

原作・著者間瀬元朗
価格756円

ストレスを溜め込み、粘菌人間へと変質した発症者。はたして発症者は「生還」するか「死亡」するか。粘菌人間になり、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた人間の“生きざま”を鋭く描く人間ドラマが今始まる!!