しおからいなみだ【ネタバレ感想】不思議なラブストーリーが彩られる短編集!

しおからいなみだ

しおからいなみだ』という電子書籍をご紹介する。

『COMIC MIU』ならびに『フォアミセス増刊』という雑誌に、2000年から2004年にかけて掲載された8本の作品群をまとめた短編集である。ジャンルは、なんだろう、いわゆるレディコミというのだろうか。

しおからいなみだ【あらすじ】

前述のとおり短編集であり、各作品の間に特に表立ってつながりはないので、ネタバレと感想を個別に書いていくことにしよう。

しおからいなみだ【ネタバレ&感想】

しおからいなみだ

恋の歓楽街

一本目、歓楽街の女、つまり恋するキャバクラ嬢の話である。いちおう付き合っている男がいるのだが、その男というのはもともと客として来たというイケメン。なんだか最初から不穏な雰囲気なのだが、女は男と結婚できるものと思ってうかれている。しかし、実は二股をかけられていた上に本命は別の女だったということが分かり……。

しおからいなみだ

いわゆる表題作というやつ。主人公の女性の、職場の女の子(主人公より若い)が若くして突然死した。で、葬式に行くのだが、先約があるので喪服のまま男の家に上がり込んで、やることをやる。そのとき清めの塩を撒いたので、涙も塩辛い。夜、女はその亡くなった女の子の夢を見る。なんとも不思議な雰囲気の作品である。

実る夏 —トマト—

いわゆる幼馴染同士の関係というやつなのだが、田舎に住んでいるのは女の子の方で、男(主人公の女の子の母親の年若いいとこという血縁関係)、その男にずっと恋している。男はトマトが好きで、主人公は大のトマト嫌い。しかし農家の娘なのだからトマト嫌いくらい直したらどうかと言われる。結局、男には都会に婚約者がいて、主人公は振られてしまうという結末。読後感さわやかで少女漫画的な雰囲気。

片想い

いわゆる倦怠期カップルの話。女の方から好きになって告白して付き合い始めて同棲しているという関係なのだが、女の子の方が「自分ばっかり好きで、愛されていないのではないか」と悩む。最終的には綺麗にまとまる。これも少女漫画的な雰囲気がちょっとある。

春の雨

こちらは「別れが近そうな雰囲気の」カップルのおはなし。別れを切り出されるとばかり思っていた女に対し、実際に待っていたのはプロポーズの言葉であったというオチ。甘い作品である。

刹那の王国

ある日、目覚めたら男に監禁していた。手は出されないが、外に出してもらえない。会社にも行けない。相手は誰だか分からない。だが結局、相手は他人ではなく、古い昔の、子供の頃の友人だったということが分かる。男は難病に侵されて先のない命で、むかし好きだった女を拉致して人生の終わりを飾ろうとしていたのである。結局、それを思い出した後、二人は結ばれるのだが、男は何も告げずに女のもとを去っていく。この作品群の中では一番よくできた、好きな作品。

愛してるよベイビー

婚約者がいる。しかしまだ夜を共にしたことがない。そんな二人だったのだが、女の方の妊娠が発覚する。ひと騒動持ちあがるのだが……結局、妊娠の相手はその婚約者だったということで、オチがついてハッピーエンド。正直、いい意味でひどい作品だと思った。

ゴンドラの上

主人公は敏腕OL。敏腕OLだが、ストレスがたまるので会議室でダーツ投げをしていたら、窓ふき掃除の仕事をしていた青年に見られてしまい、なんか半分脅されるような形で焼き肉をおごるはめになる。その後、仕事で大きな失敗をした主人公は今度は会議室で大泣きしているところを彼に見つかり、彼はすっとんできて慰めてくれて、キスをする。恋の始まりか、というところで話は終わる。これもわりと好きな作品。

しおからいなみだ【作品情報】


しおからいなみだ

しおからいなみだ

原作・著者藤沢チヒロ
価格500円(税別)

甘酸っぱくて、ときどきしおからい。滑稽だけど、ときどき泣ける。いろんな恋の形を描いた短編集。あなたはどんな恋……してる??

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