心の病に向き合う漫画「精神科ナースになったわけ」内容やネタバレ感想

精神科ナースになったわけ

水谷緑先生が描く漫画「精神科ナースになったわけ」は実際の病院や看護師の方に取材をして基づいた話をメインに描くコミックエッセイ。精神科の現状や患者さんとの付き合い方など勉強になることがたくさん。

患者さんを肯定、否定するわけでもなく淡々と心の病に看護師の方が向き合う姿勢が素晴らしい漫画。暗い話のように見えますが登場する人物や絵柄が温かく読後感はまったく悪くありません。少し精神的にしんどいなぁ〜なんて方が読むと心が落ち着き、温まる。そんな漫画に仕上がっています。素晴らしい漫画なので是非、興味がある方は手にとって読んでみて下さい。


精神科ナースになったわけ

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漫画「精神科ナースになったわけ」ネタバレ

この漫画は第3章まであり、章ごとにいくつかの話が設けられています。特にどれも素晴らしい内容ですが特に印象的だった話をピックアップしました。

帽子を取れないおばぁさん

この話では主人公:太田が一番最初に担当した患者さん。夏でもニット帽を絶対に外さない統合失調症の細木さんとの触れ合いを描いている。盆踊りを介して徐々に親交を深めていき、打ち解けてきた段階でニット帽を外さない理由を聞いてみる。

その理由は「脳みそが出て来るから」。
そして太田は「この人はこの人のルールで生きてるんだ」といった思いを持つ。

太田はニット帽をずっと被っていると頭が痒くなったりしないかを心配。自分に3分だけ時間をくれと伝える。その3分で帽子をとりタオルで髪を拭いたりする。少しずつ帽子を取っている時間を伸ばして細木さんの思い込みを解放していく話。

最初は汗だくで顔も固くなっている細木さんだが徐々に笑顔が戻ってくる温かいお話。

境界性人格障害の美少女

アイドル並に可愛い女性ユカリ。そんな美貌でもリストカットして入院をしてきた。彼女は境界性人格障害。特徴は感情が不安定、自傷行為の繰り返し、自己否定感が強い、不安定な人間関係、捨てられる不安がある。などの特徴がある。この症状は20代〜30代の女性に多いらしく年齢と共に落ち着く傾向があるよう。

ユカリの担当になった太田。
とにかくユカリに振り回される太田。彼女の本心に気づきそっと見守るお話。

境界性人格障害を持つ人との向き合い方、付き合い方、このような症状を持つ原因などわかる話になっている。親の愛情というのは子供にとって、とても大切なんだなぁ〜と学ばせてもらえました。

「かまわない」といった勇気

この話も非常に印象に残りました。10年間ほぼ毎月、自傷行為をくり返す蓮井さんとの物語。ガラスに突っ込んだり、洗剤飲んだり、電池を飲んだり。また自傷行為以外にも他の患者さんや看護師に物を投げたりもする。

5年間診てきた看護師も疲れ果て担当を外して欲しいと直談判。
院長から出た言葉は他の看護師も驚く言葉でした。

そこから蓮井さんの自傷行為に関して大げさに荒立てることもなく自分で付けた傷は自分で治療させる。とにかく注意を引こうとしている行動には一切かまわない姿勢で接していきます。

かまわない作戦が功を奏して少しずつ胸の内の苦しみを吐露するようになる蓮井さん。最終的には外出できる位まで持ち直したようです。

構って向き合うばかりの接し方ではなく少し離れて見守るといった接し方で糸口が見つかるケースもあるんだなぁ〜と感慨深い話でした。

「精神科ナースになったわけ」は病気の方への理解が深まる漫画

精神科ナースになったわけ

どうしても精神科患者は少しおかしい、キ◯ガイと勘違いされることが多いと思います。しかし、この漫画を読むことで決してそうではない。行動一つ一つに意味があったり、考えがあることがわかるはず。

この漫画で精神病の全てがわかるわけではないですが理解して付き合い方、向き合い方の参考になります。

主人公:太田さんの「この人はこの人のルールで生きてるんだ」といった言葉がとてもしっくり来ました。自身にだって人知れず自分ルールがあります。それと同じなんだと。楽しい漫画ではないですが素晴らしい漫画。

心が少し重たいなぁ〜なんて時に読み返すと救われたり、解放される糸口を見つけられたりします。気になった方、興味が出てきた方は是非、試し読み可能なので自分に必要な漫画か手にとって確かめて見てください☆彡


精神科ナースになったわけ

精神科ナースになったわけ

原作・著者水谷緑
価格864円

普通のOLだった主人公が、母親の病死による悲しみのせいで、心のコントロールが利かなくなり、通勤中に横入りの男に無意識に肘鉄をくらわしトラブルに。完全に平常心を失っていた自分に驚き、こうも簡単に壊れてしまう「人の心」に興味を持つように。そして仕事を辞め、看護師の資格を取り、「精神科」で働くことを決意。しかし身体のケガや病気のように目で見て明らかではない精神の病を抱える患者たちとの日々は想像以上に大変で忍耐力のいることだった。

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