『項羽と劉邦、あと田中』第2巻である。『項羽と劉邦』の方は、2巻でも相変わらずほんのちょっとしか出番がない。
項羽と劉邦、あと田中【2巻】あらすじ
史実ベースで考えると、紀元前210年の後半が描かれている。
まず、始皇帝が没する。次に皇太子であった始皇帝の長男の扶蘇(ふそ)が謀殺される。このあと同年中に始皇帝の末子胡亥(こがい)が二世皇帝として即位するはずだが、そこまでは進まない。故に今巻は前210年が舞台だと考えられる。
ちなみに、史実通りに進むのならば有名な陳勝・呉広の乱が勃発するのは翌年である。もっとも、細かいところが微妙に史実と違ってきているのだが、それは後述する。
項羽と劉邦、あと田中【2巻】ネタバレ
表紙左にいるのが前漢でも出てきた美しい女性。蒙毅の娘で、蒙琳(もうりん)であるという。説明するほどのこともないのでざっくり説明するが、田中(31)に恋をしてしまったようである。
それはそれとして、田横は武術の才を見せ、蒙毅に取り入ることに成功する。具体的には護衛として雇われた。で、田中も一緒に、咸陽にある蒙家の屋敷に暮らすことになった。で、数ヶ月後、始皇帝は巡幸に出ることになった。田中はすぐ気付くのだが、始皇帝は史実において巡幸の途上で病死しているので、その巡幸で間違いない。
始皇帝が死んだあと、宦官の趙高という悪党が暗躍を始めるのが史実なのだが、田中が田横を通じて手を回してそれを防ごうとしたところ、事態はより悪い方に転がった。趙高は始皇帝を暗殺し(刃物が刺さってる。病死してから刺した可能性はゼロではないが田中は暗殺だと認識している)、その罪の濡れ衣を蒙毅に着せ、蒙毅を始皇帝の遺骸の前で刺殺した。田横は蒙毅から後事を託され、かろうじてその場を落ち延びた。
ちなみに、史実では蒙毅が死ぬのはもうちょっと後である。田中がタイムスリップしてきたことによって、歴史の歯車は少しずつ狂い始めているらしい。ちなみに扶蘇は史実通り謀殺され、自害に追い込まれた。
蒙毅には兄がいる。蒙恬という、始皇帝の部下の中で屈指の名将だ。捕縛され、護送されているところを田横とその友人の彭越という義賊の力で奪還、田中が蒙恬を説得し、反趙高の闘争のための旗印に立てることになった。ちなみに琳も完全に田中の味方になっている。
項羽と劉邦、あと田中【2巻】感想
まず、この流れの中で田中は何をやっていたかということなのだが、実は二世皇帝の即位を阻止し、聡明な人物として知られていた扶蘇を秦の皇位に就けるべく暗躍していた。
めちゃくちゃ歴史に干渉しまくっている。こういうことやっていいのかな?という迷いがないわけではないのだが、何しにここに来たのか分からないし、自分の恩人とかを守りたいし、とにかくやっちゃうわけである。
だが、趙高が一枚上手であるらしい。さすが中国四千年の歴史に最凶最悪の宦官として名を残す大悪党だけのことはある。
田中は未来を知っている。それが趙高に対する彼の圧倒的な優位性である。「史実通りにことが動くなら」趙高は胡亥を二世皇帝とし、しばらくは内政に集中するはずだ。で、一年くらいで陳勝・呉広による大反乱が勃発、世は乱世に突入する。はず。
だが、趙高は現状何を考えているのか何を企んでいるのか分からず、先が読めない部分がある。田中は「自分の知っている通りの秦史の展開」にならない可能性も考慮してはいるが、いずれにせよ今は田氏に協力し、蒙恬のもとで動く以外にはやれることはないのであった。
ところで琳である。多分彼女だけは架空の人物ではないかと思うが、そのうち結婚とかしそう。まあ、割とどうでもいいや。チートハーレムものじゃないし。
この作品の面白いところは、ハンコひとつと歴史の知識と現代中国語会話の技能くらいしか持っていなかったはずの田中が、実はすごい弁舌の才能の持ち主で、次々と人を転がし始めるところにあるっぽい感じだ。まあ、いずれにせよ先のことはまた先の巻の紹介で。
項羽と劉邦、あと田中
営業担当の会社員・田中は気づくと見知らぬ大草原にいた。そこは古代中国大陸。後に秦王朝を打倒し激突する、二人の英雄がいた時代。彼らの名は、項羽と劉邦。この乱世、田中に何ができるというのか!?大人気田中系歴史小説、満を持してのコミカライズ!
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