コドモのコドモ(3)
著者 さそうあきら
出版社 双葉社
ジャンル 青年漫画
コドモのコドモ(3巻)あらすじ
春奈が出産まで残りわずかとなった頃、おばあちゃんが死ぬ。
心臓発作で、あっという間のことであった。
最後に案じていたのは、春菜のことである。春奈の母(おばあちゃんの娘)に対し、「折り入って話がある」と言い、春奈のことを告げ知らせるつもりでいた、その直後のことである。形見として残ったのは安産祈願のお守りと、手縫いの布オムツであった。
そしてついに春菜は出産の日を迎えることになる。ちなみに、一度も医者にかかっていない。
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コドモのコドモ(3巻)ネタバレ
出産は、月満ちてのことではなかった。計算上の予定日より、一ヶ月くらい早かったのである。春菜は破水する。救いというべきは、美香に「破水」という概念を理解する程度の知識があった、ということである。
そして、美香はほんとうに賢いことに「この状況は自分たちの手には負えない」ということを理解できるので、大人に救援を求めようとする。その場にいた、春菜の友人の一人が、町の産科医院(ミツオの自宅)に走った。もう一人は春菜の自宅に走った。
しかし折悪しくドクターは往診に出ており、春菜の家族も捕まらなかった。ただ、ミツオと、その他数人(子の父であるヒロユキも含まれる)の子供たちは駆けつけた。
ミツオはそんなにでしゃばるような性格の持ち主でも、リーダーシップを発揮するようなタイプでもないのだが、状況が状況であり、そして子供たちの中では一番、知識を持っている立場である。苦しんでいる春菜の前におずおずと進み出て、まず、呼吸法を教える。いわゆるあの有名な、ラマーズ呼吸法、ヒッヒッフーというやつだ。
ヒロユキはたいした役に立たないが、手を握るくらいはする。物凄い握力である。ちなみにこれは普通のことで、これとは関係のない他の産婦人科が舞台の漫画で読んだことがあるが、いきんだ妊婦に素手で手の骨をへし折られる立ち合いの夫というのはざらにいるものだそうだ。
そしてミツオが子どもを取り上げ、美香が受け止める。ミツオは臍の尾を縛って切除し、泣きださない子どもの背中を叩いて泣き出させるところまでやる。門前の小僧習わぬ経を読むとは言ったものだが、ものすごいファインプレーである。彼がいなかったら母子ともに命は危なかったかもしれない、そういうレベルだ。
で、だ。話はここで終わりではない。
ことがここに及んでも、春菜は事態を大人たちに知らせない。なんと、子供たちだけで育児をしようとするのである。
そんなことがうまく行くはずもない。一人脱落し、二人脱落し、結局、大人に状況がバレる。最初に事態を知ったのは、八木先生である。
ここで、この馬鹿女はとんでもない行動に出る。事態が明るみに出たら自分の社会的地位が危ないという保身から、子供たちと自分だけで育児を続行しようとするのである。
常識を疑うというか、狂気の沙汰であるが、突っ込んでいくときりがないので話を進めよう。
最終的に、春菜の母親に事態が知れる。赤ん坊を見つけられてしまい、そして、春菜が間違いなく経産婦であるという事実が、医師によって確認された。
で、マスコミなどもやってくるようになり、町は大騒ぎとなる。ヒロユキの父親は、一家で街を捨て、移住する決断をする。その駅での別れのシーンで、いったんフィナーレとなり、場面転換、十数年後が描かれる。
生まれた子供は無事に成長しており、春菜はごく普通に大人となって働いていた。めでたしめでたし。
コドモのコドモ(3巻)感想
さて。どこかの市長さんの「作品テーマだけで偏見を持たず、まずは最後まで観てから感想を言って欲しい」という言葉通り、筆者は最後まで作品を見届けた。(映画版は観ていないが、それはそれということで)
その上で。
コドモの妊娠・出産を描いているからといって、これが「卑猥な作品」ではないのは確かだ。また、「非行を描いた作品」というのとも違う。
では何なのかといえば……一応、目指したものは、命の価値だとか、人と人の絆であるとか、そういう感動路線だ。そういった方向性の作品だ。
それが成功しているのかどうか、お知りになりたい方はどうか、ご自分の眼で本作品をお確かめになってほしい。
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