コドモのコドモ(1)
著者 さそうあきら
出版社 双葉社
ジャンル 青年漫画
2005年に刊行された全3巻の漫画である。
タイトルにも示されているように「小学生が妊娠・出産する」というテーマを取り上げた作品であるので、良くも悪くも当時結構話題になっていたように思う。
コドモのコドモ(1巻)あらすじ
持田春菜は小学校5年生の、普通の子供である。
ちなみに生理は既に来ているのだが、性に関する知識は乏しい。ヒロユキという友人の少年と、「くっつけっこ」と称する遊びを行っている。具体的にどういう遊びなのか明記はされていないのだが、それで春菜は妊娠してしまうので、まあそういうことなのであろう。
序盤ではまだ、春菜は自分が妊娠していることに気付いていない。
それより、高校生である姉の友人で朋子という少女がいるのだが、付き合っていた男と関係を持って妊娠してしまい、この少女がひそかに堕胎手術をする、という話が展開される。病院を探したり、カンパを集めたりといった具合だ。ちなみに、堕胎費用は12万円であると言っている。月齢がまだ早いらしい(妊娠してから期間が経っていると30万くらいかかるのである)。
ちなみに朋子の相手の男というのも出てくる。関係は切れておらず、「あんまり金策はできなかったが、少しずつ稼いで全額払う」みたいなことを言っている。まあ、手術の日に迎えに来なかったりしたので、本当か嘘かはよく分からないのだが。
ある日、学校で性教育の授業がある。
意識の高い若い女性教師であるので、科学的に、一通りのことをちゃんとする授業をやる。春菜はこの時点でようやく悟る。「それって、くっつけっこじゃん」と。
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コドモのコドモ(1巻)ネタバレ
性教育の授業を経て、いちおう最低限の知識を得た春菜は、親に告げる。
「赤ちゃんできたと思う」と。
だが、何しろ小学5年生である。妄言であると思われ、取り合ってもらえない。だが春菜は自分で妊娠検査薬を使い、確かに妊娠していることが分かる(なお、地の文では「春菜出産まであと○○○日」などと書いてあるので、読者には最初から分かっている設定である)。
ちなみに春菜はわりとつわりが重いらしい。トイレで吐いていると、性教育を担当していた女性の教師も隣で吐いている。無邪気に(そしてえげつなく)「先生も妊娠してるの?」と尋ねる春菜であるが、先生の方は、ラディカルな性教育をやったせいでPTAに締め上げられ、ストレスで吐いていただけである。春菜の言っていることを悪質な冗談だと思い、キレて説教する。
コドモのコドモ(1巻)感想
この作品、しみじみとろくな大人が出てこない。先生の彼氏なんてのも出てくるが、そいつも屑野郎である。地域の人々は因習にかられた田舎者ばっかりだし、先生にしても、進歩的な思想の持ち主なのはともかく、なんていうか空回りしていて、独りよがりな感じだ。
表面的に描かれている物語としては、この進歩的な先生と他の旧弊な先生たちそして保護者たちの対立という面もあるのだが、これが春菜の妊娠・出産という問題についてどう絡んでくるのかは、1巻の時点ではまだよく分からない。
子供たちはというと、ただの幼稚な精神性の子供たちばかりである。リアルな感じに幼稚で子供であるので、つまり残酷で、非情だ。
ちなみに、春菜とヒロユキの関係であるが、仲が良いのは確かなのだがこれもまったく子供同士という感じで、いわゆる意味での恋愛関係にあるわけではない。
この作品、のちに実写映画化されているのだが、撮影に本物の小学校などを用いたため、その現地でちょっと問題になったらしい。「ふしだらな映画のために神聖な学び舎を使わせるとは何事か」とかなんとかいって。
で、撮影に許可を出した市長だか誰だかが言うには、「作品テーマだけで偏見を持たず、まずは最後まで観てから感想を言って欲しい」とのことだ。
まあそういったようなわけであるので、筆者としても、まだ伏線が敷かれているだけの段階でもあるし、この巻の時点では、感想らしい感想を述べることは控えさせていただく。
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