正直申し上げると筆者は実際読むのは本作が初めてなのではあるが、かなりのベテラン作家の作品である。既刊3巻。とりあえず3巻まで続けてご紹介していく。
JUMBO MAX【1巻】あらすじ
舞台は現実世界、現代日本。ジャンルは、公式の紹介文など見ると「クライムストーリー」とある。
主人公、曽根建男(そね たてお)は一見した限りでは冴えない中年男。表紙右の男である。不動産をちょっと持っていてアパートを経営して生計を立てている。というとうらやむ人もいようが、本人が言うには「言うほどの金持ちでもなければ、格別羽振りがいいわけでもない」とのことである。
冒頭、建男の結婚式が描かれる。相手は若い美女(そうは言っても子持ちのバツイチだが、五十過ぎの建男と比較すれば若い)である。誰がどう見ても金目当てないし結婚詐欺の類であり、建男は新婦の友人等から馬鹿にされまくっているが(かわいそう)、ともかく結婚である。
しかし、初夜の晩に何があったのか、気付いたら朝であった。
しばらくして、妻に言われる。妊娠した、と。
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JUMBO MAX【1巻】ネタバレ
だがそれは嘘に違いない、と建男はひそかに確信している。何故なら彼は重度のED(勃起不全障害)であり、生まれてから一度も勃起した経験がないのである。だが、基本的にお人よしなので、妻に事実を突きつける勇気すらない。
それはそれとして、アパートを経営しているので、ある日逃げた店子の父親(たぶん保証人であろう、この男が須磨岡貢郎-すまおか みつろう-、表紙真ん中の中年男)と部屋で話をしていた。
娘はたぶん風俗に身を売ったのではないかと思われる、という。そんなことは知ったことではあるまいと思うが、部屋にたまたまED薬が転がっていて、まあ利息の代わりとかそんな感じのノリで、それはくれるという。
建男もED薬くらい試した経験は当然あるので、どうせ利かないだろうとは思ったが、試しに飲んでみた。信じられないことに、効果があった。
建男はここで一大決心をする。
「この薬を自分の手で量産する」というのである。
素人にそんなことができるわけはないが、実は薬剤師の資格を持っているらしい(すげーな、簡単に取れるものじゃないぞ)。
まず逃げた店子の女を追跡し、そこから須磨岡と再度接触する。須磨岡に事情を話し、薬を売ってもらう。吹っ掛けられた上に偽物を混ぜられたのだが(1錠は本物)、後日また須磨岡に会って「この薬を量産する」という話をしたところ須磨岡が話に食いついてきた。自分が持っている最後のこの薬、11錠をあんたに託す、というのである。
この薬は研究機関などで開発されたものではなく、ある一個人が個人的に開発した闇の薬なのだという。
その製作者はおそらく死んでいて、現物を分析するしかない。須磨岡はどういうつてをたどったのか、でかい大学のラボに所属する女に渡りをつけた。宝生鹿子(ほうじょう かのこ)。さいしょ教授との不倫のネタを掴んで脅そうとするのだが、逆に証拠をつかまれて須磨岡の方が脅されるはめになった。
で、素直に健男の計画の話をする。鹿子もかなりの悪党であり、薬と健男の科学者としての能力に興味を示して、ともあれ協力してくれることになった。
で、99%までは成分を割り出せたのだが、最後の1%がどうしても分からない、という。だが健男にはピンとくるものがあった。おそらくは漢方の生薬であろう、とあたりをつけたのである。
実は健男の父は生前漢方医であったらしく、薬はたくさん残されていた。それをもとに、健男は研究を始める。時間はかかったが、1巻のうちに結論が出る。紫河者(シカシャ)。人間の胎盤を乾燥させたもので、実在の漢方薬なのだが、現在は日本ではまず入手不可能という代物だ。
ただ、成分は分かっても配合割合までは分からない。試作品をとりあえず一つ作り、それは鹿子に渡した。鹿子はそれを教授に飲ませた(不倫関係そのものは本当の話)のだが、結果として教授は死亡した。
鹿子は罪悪感などを感じるどころか、「この薬本物じゃん!」と感心している。たいがいな悪党である。1巻はここまで。
JUMBO MAX【1巻】感想
びっくりするほど面白かった。
冴えない中年男が主人公のクライムものは別に珍しくも無いが、この中年男が覚醒し化けるのが早いのである。ポテンシャルがすごい。感動すら覚える。というわけで、続きがあるのでさっそく次に進むこととしよう。
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