作中で一度きりのベットシーンあり「ハチミツとクローバー」第8巻のあらすじ・ネタバレ感想

ハチミツとクローバー(8)
ハチミツとクローバー(8)
作品名:ハチミツとクローバー(8)
作者・著者:羽海野チカ
出版社:白泉社
ジャンル:少女マンガ

ハチミツとクローバー 第8巻のあらすじ

この巻は真山巧と野宮匠、二人のタクミが主人公である。

ところで、この巻以前の本筋において重要なことではないので説明してこなかったが、野宮はだいぶ前から、仕事の都合で鳥取に長期出張している。鳥取って、あの、砂丘で有名な、山陰地方の鳥取だ。

山田はだいたいいつもいつも「まやまーまやまー」言ってめそめそしているため、どこから野宮と山田が恋愛関係にあったか考えるのは難しいのだが、あえて言えば、この巻からである。

ハチミツとクローバー(7)

ハチミツとクローバー 第8巻のネタバレ

あるとき、野宮と山田が電話をしている。山田は明るく振る舞っているが、本当は電話の向こうで泣きそうである。野宮はそれに気づき、山田を慰めに行くというただそれだけの目的のために、東京へと向かう。

ちなみに何故、山田が泣きそうになっているかというと、理花と真山の事務所で一緒に仕事をしているからだ。わざわざ、自分が振られたけど未練たっぷりの男と、その男がいい感じになっている相手の前に出ていって、わが身を傷つけている山田である。

この愚行について森田はこう語る。筆者の、作中で最も好きな台詞であるので、原文通りに起こそう。

「ばかだなお前 泣くぞ? わざわざあいつらの一緒にいるところを目に焼きつけにいくんだからな —でも そうでもしなきゃ思い知れないんなら行くがいいさ 充分に思い知っていっぱい泣くがいいさ」

「そしたら」

「オレまた ポカリ買ってやるからさ」

なんだろう、この、親子兄弟の愛ですらここまでの慈悲はないだろうという、深く優しく静かで落ち着いた愛は。

ちなみに、アニメ版では、おそらくは商品名がまずかったのであろうが、「ポカリ買ってやるからさ」の台詞がカットされていた。この台詞が大好きな筆者としては無念であった。

さて、一方、東京へ向かった野宮であるが、あろうことか山田が美和子の差し金で東京に向かったため、行き違いになる。東京と鳥取。壮大な行き違いである。

そして野宮は恐るべき恋の力で、鳥取へと再び取って返す。東京で待ってれば山田は戻ってくるわけなのだが、その程度待つことすらできないほど、彼はまっすぐに山田だけを見据えている。

もっとも、野宮は車で、山田は新幹線を使っているため、普通に行っても追いつけない。そこで野宮のためにひと肌脱ぐことになるのが、山崎である。山崎は純情である。女子は苦手である。だが、野宮は親友で、山田はその親友の想い人だ。「野宮に、好きな人と二人で、砂丘を見させてあげたい」というただそれだけのために、何の見返りが自分にあるわけでもないのに、山崎は精神的荒行に挑戦する。

「女の子をエスコートして、鳥取観光案内をして回る」という荒行に、だ。

「もー鳥取ってサイコーだよね オレ梨スキだし 砂丘ってやっぱ…(E)じゃん!?」

とか言いつつ、ストレスで毛が抜けている。なんという友達甲斐であろうか。感動すら覚える。

ちなみに、そんなことをやってる間に野宮はかろうじて帰ってきて、力尽き、山田に「帰らないで ここにいて」と言い残し、眠ってしまう。

そして翌日、野宮は山田を連れて砂丘に上り、駅まで送っていき、なんか勢いで愛の告白をぶちかます。

あとをつけていた山崎は、慈愛の涙を浮かべて親指を立て「GJ!」とキメる。野宮は物凄く恥ずかしがって嫌がるのだが、山崎の功を考えればこれくらいのことをする権利はあるであろう。

真山の方はどうしているかというと、理花と二人、理花の故郷である北海道へ向かう。ほとんど強引に、引っ張って連れて行くような形なのだが、理花は自分の背中を押してくれる人間を必要としていたため、結果としては大成功である。

どう大成功かというと、真山はこの旅で理花とのベッドインを果たす。なお、この作品の作中、ベッドシーンが描かれるのはここだけである。

ハチミツとクローバー 第8巻の感想

さて最後に。前にも述べたが、森田の山田に対する愛は、アガペー、無私無償の愛である。友情、というのとは明らかに違うし、親友同士、というのでもない。愛という言葉以外では表現不可能だ。

ハチミツとクローバーは青春をテーマにした作品だが、その根底に流れる副旋律は、「愛」である。(作者が言っているとかではなく、これは筆者の主観的分析だ)そして、作中で最も深く静かな愛は、森田から山田へ向けられたものなのである。

いったい何がどうして森田という男がこうまでの慈愛をもって山田に接するのか。作中でもちゃんとした説明があるわけではない。ただ、もしかしたら森田の過去に関係するのかもしれない。それについては、次巻で語られることになる。

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