『adabana 徒花』、中巻である。
adabana~徒花~【中巻】あらすじ
殺人事件の「容疑者」藍川美月の証言、という不確かな土台の上に立って描写されていた上巻からうって変わり、今度は時系列を遡って事件の半年前から、「被害者」五十嵐真子を中心に据えた「作者視点」で物語が展開されていく。
ざっくり要点を書くと、真子を出演させてポルノサイトを運営していた叔父との関係、のちにストーカーとなる暁裕樹との出会いと交際、その二つが主眼となる。
ちなみに、叔父を殺害したのは実は美月ではなく真子だったそうである。なぜ美月が死人を庇って自らが罪を被るような供述をしたのか、までは今巻では明らかにならないのだが。
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adabana~徒花~【中巻】ネタバレ
うーん。今中巻を読み返していて、なんか重要な伏線らしきものに気づいてしまった。上巻では「五十嵐真子17歳」と報道されている場面があったので彼女は享年17歳だと思われるのだが、中巻でまだ生きている本人が「今日は18歳の誕生日」みたいなことを言っているのである。
これが何を意味するのか、それとも単なる校正ミスなのか、分からない。わからないが、ともかく中巻の内容を追っていこう。
真子が十歳のとき、父が交通事故を起こし、助手席にいた母は死んだ。父親はそれ以来、廃人同然で、仕事もしていない。家は生活保護を受けている。
真子は叔父の撮影するポルノフィルムに出演している。本人は本心では嫌なのだが、借金があるとかで、まあ性的虐待児童虐待を受けているわけである。
ある日、真子は暁裕樹という青年と出会う。美青年である。きっかけは雨に降られて傘を貰ったというだけのことなのだが、裕樹は真子に興味を示し、細かい展開は省くが二人は親しくなる。
だが、真子は交際に踏み切れない。自分がポルノに出演している引け目があるからである。真子は裕樹にそれを直接打ち明け、拒絶の姿勢を見せる。
ところが、裕樹は叔父のしていることは許せないと言って、直談判に行く。どういう談判をしたのかはわからない(後述。重要な伏線となる)が、なんと叔父は真子に謝罪し、二度とあんな真似はしないと誓う。感激した真子は、裕樹に身体を許すことになる。ちなみに処女であった。
そこまではまあよかったのだが、この裕樹というのがヤバい男であったことが徐々にわかってくる。異様なまでに真子を束縛しようとしたりとか、端的に言ってしまえば異常者だったのである。
単に性格に難があるという程度の認識でいるうちは真子も耐えていたのだが、家にカメラを仕掛けて自分との性行為を一部始終撮影していたという事実が発覚するに至り、真子はついに耐えられなくなり、裕樹のもとから逃げようとする。だが、裕樹は別れることを許さないばかりか、脅迫すらしてきた。
それだけではない。一番重要なのはここからである。裕樹が撮影していた画像なのだが、実は叔父がポルノグラフィとして販売していたことがわかる。叔父と裕樹はグルだったのである。これが、伏線の答えだったというわけだ。
それが判明したあと、真子は叔父が美月をレイプしようとしている現場に居合わせてしまい、激高して叔父を殺害する。美月は正当防衛だとか言っているが、その理屈警察と裁判所には通じないと思うぞ。ともあれ、二人でこれからどうするか相談することになり、そのあたりで中巻は終わりである。
adabana~徒花~【中巻】感想
いやしかし男はクズばっかりだなこの漫画という感じ。このあとどうなるのか、回想シーンが続くのかそれとも「第三の真実」みたいなものが明かされるのか、それは謎である。まあ、いずれにせよそのうち出ると思われる下巻の刊行を待つとしよう。
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