青春のアフター【3巻ネタバレ感想】業の深い三角関係に発展…

青春のアフター(3)
青春のアフター(3)
作品名:青春のアフター(3)
作者・著者:緑のルーペ
出版社:双葉社
ジャンル:青年マンガ
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漫画「青春のアフター」3巻のあらすじ

構成上の時系列が飛んだり跳ねたりするので(タイムワープものだけに)、あらすじを語るのがややこしい。箇条書きで要点だけまとめよう。

さくらは倉橋に「実はタイムワープしてきた」ということを打ち明けるのだが、倉橋はたわごとだと思って取り合わない。ここで倉橋とさくらの間のフラグがばっきり折れる。さくらのモノローグは「助けてよ まこと」だ。
まことはみい子の実家に行く。付き合い出してからいい加減長いので、ご家族に挨拶である。で、結婚の約束をしてしまう。さくらのことを強いて忘れようとしている感じである。
突然、新キャラが出てくる。倉橋の元カノで、まこと、さくらとも元クラスメイトであるらしい。名前はついている(澤という)が重要キャラではない感じである。
澤は既婚者だが離婚調停中である。夫であるところの人が、高校時代の元クラスメイト相手に浮気していたらしい。そのこと自体はまだしも、「この男は、その相手を傷つけんがためだけに、自分と結婚したのではないか」という疑惑が、結婚生活にとっては致命傷となったのであった。
澤から、みい子がまこととさくらの間の過去(高校時代、ほとんど公認カップルだったような関係であったこと)を聞いてしまう。

最後に、重要なシーンがある。

漫画「青春のアフター」3巻のネタバレ

みい子と結婚の約束をした後、そのことについてさくらと話す間、「無自覚に」さくらの手をずっと握っているまことである。そして(みい子にとってはかなり困ったことに)さくらは、その事実が、満更ではないのだ。業の深い三角関係に陥っている。

さて、最後のシーンについてだ。

婚約者がいるというのに、婚約者を放っておいて、泣いているさくらを追いかけていくまことである。

なぜ泣いているのか、と問う。

さくらは、「まことがわたしのものになってくれないから、って言ったらどうする?」と問う。

で、まことは、恋の告白みたいなことを言ってしまう。16年前にもしているのだが、それとはまったく意味の変わる告白を。

さくらはまことに抱きつく、というか飛びついて、キスをする。

その光景を、遠くでみい子が呆然と見ている。

その状況で、次巻に引くのだが、煽りの文句が「僕は、どこで選択を間違えた?」である。

漫画「青春のアフター」3巻の感想

青春のアフター(3)

実際のところまことはどこで間違えたのだろうか。これは難しい問題である。まことがみい子と出会った経緯、恋に落ちた経緯もこの3巻で語られるのだが、それはそれで、そうなっても仕方ないかな、という流れなのだ。いくら、忘れられない過去の相手がいるといったって、その時点ではさくらは行方不明になったまま十数年も経っているのである。

ずっと前から僕は間違えていたんじゃないか」と、まことは述懐する。

そうであろう。それは、さくらと再会したときに手を取ったことがそもそも間違いだった、なんていう話ではきっとないのだ。もっとずっと昔。

さくらへの想いを忘れようとしたことそのものが、間違いだったのではないかと、筆者は個人的な感想としてだが、思う。

突然関係がないようで関係のある話をするが、心理学の言葉でツァイガルニク効果というものがある。ツァイガルニクという謎の単語はこの効果を発見した心理学者の名前であって、そんなことはどうでもいいのだが、「未達成の課題の内容は達成された課題の内容よりも忘却されにくい」ということを実証した研究理論である。

恋愛に代入すると「実らなかった恋の相手ほど忘れられない」という話になる。

実らなかった、しかし本当の恋を、自分の心の中で処理するのは、とても難しい。失敗したからってこの漫画みたいになることは普通あるまいが、しかしそれにしたって、難しいものは難しいのだ。焼けぼっくりには火がつきやすいという話もあるし。

さて、次の4巻が最終巻となることは確定しているのだが、2017年夏発売、だそうである。そのときが来たら、できればまたご紹介したいと思う。


青春のアフター(1)

青春のアフター

原作・著者緑のルーペ
価格660円(税込)

オトナになった僕の前に現れたのは、高校生の時に目の前で消えた、大好きなあの娘だった――。女子高生の姿のまま現在にタイムスリップしてきたさくらと、さくらへの想いを心の片隅に残したまま32歳になった鳥羽、そしてその彼女・みい子の歪んだ同居生活が始まる…。

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