中華系ファンタジー漫画「娘々TON走記」1巻のあらすじ・ネタバレ感想

娘々TON走記 (1)
娘々TON走記 (1)
作品名:娘々TON走記
作者・著者:樹るう
出版社:竹書房
ジャンル:青年マンガ

漫画『娘々TON走記』1巻のあらすじ

この作品は「なんちゃって中華ファンタジー」である。仙人とか、道士とか、仙術とか、妖怪とか、龍とかが出てくる。時代考証はしてもあまり意味がないが、中世くらいのような感じだ。

主人公は、悪い仙人にブタに変えられてしまったこの国の皇太子さま(皇帝の息子)である、超万里という16歳の少年。

ひょんなことから知り合った道士の三姉妹、長女・青霞(せいか)、次女・紅蘭(こうらん)、三女・珠々(しゅしゅ)を引き連れて、呪いを解くための七種類の集めるため、東奔西走、旅をする。この巻で集まるのは、三つ目の薬までである。

漫画『娘々TON走記』1巻のネタバレ

いちおう、大筋としては「皇帝の新しい妃(主人公、超万里から見れば継母にあたる)が皇帝を籠絡し、国を専横しているから、それをどうにかしなくては」という話があり、これが最終巻への伏線になっているのだが、全般的には冒険ファンタジーとしての色彩の方が強い。

まず一つ目の仙水は、三姉妹の師匠である女仙人(見た目はうら若き美女なのだが、仙人であるからして、ものすごく長い年月を生きている。そもそもが人間なのかどうかもよくは分からない)が作ったものである。これは割と簡単に手に入る。二つ目は、仙人というか、仙龍というか、とにかく非常に長寿で仙術なども使いこなせる、巨大な龍が持っている。

そう書くと恐ろしげだが、西洋ファンタジーの龍と違って中華ファンタジーの龍なので、人間に対して非常にフレンドリーだ。割と気さくに薬をくれる。もっとも、その龍の奥さんとをめぐってひと騒動あるのだが。

三つめの薬は、これは比較的年の若い(といっても、人間としては高齢)見るからに隠者然とした人間の仙人が作ってくれる。この人は、超万里の派閥に属する、宰相(超万里の母親である元皇后の部下から抜擢されたとかで、超万里からはじいやと呼ばれている)の兄でもある。

この三つ目の薬まで手に入ったあたりで、ようやく「悪い仙人」が登場する。完全な解呪に七種類もの仙薬が必要になるという、非常に面倒くさい変化術を使いこなす、性格のひねくれた仙人だ。

どういうキャラかというと、簡単に言えば同性愛者である。ガチムチタイプで、裸族(ほとんど服を着ているシーンがない)。超万里に暴走した愛を抱いていて、面倒くさい呪いをかけたのも、愛と憎しみは表裏一体、というやつだ。

漫画『娘々TON走記』1巻の感想

この作品はいわゆる「初期作品」だ。ゆえに筆致は若々しく、荒削りな楽しさに満ちている。

「ブタさんのお供」として簡単に書き飛ばしてきたが、潜在的権力はともかく現状はただのブタであってほとんどなんの能力もないブタさんのために奔走している三姉妹は、物語の実質的な主役である。少しはちゃんと紹介しよう。

長女は美人タイプ。宝石に目が無い。次女はしっかり者。16歳とお年頃(なお、超万里も同い年)。かわいいというか、この物語の実質的ヒロインは紅蘭である。珠々はロリ系である。

ところで感想というか、感慨を述べたい。この作品が単行本になっており、そして現在手に取って(電子書籍の形でも)読むことができる、ということは、感無量である。そもそも、この漫画は、「メガストア」「メガストアH」という、エロ漫画雑誌で連載されていたものだ。(メガストア誌は今も存在する)といっても、この作品自体はエロ漫画ではない。

最近はそういう作品は少なくなったが、昔のエロ漫画雑誌(この漫画が連載されていたのはもう随分と昔のことである)には、刺身のツマのような感じで、エロくないギャグ漫画などが掲載されていたのである。

そういう出自だから、連載終了時点では単行本は出ていなかった。で、「幻の作品」と言われていた。色々ないきさつがあって(のちの巻の解説で再び語ろう。ちなみに本作は全三巻である)、今はこうして読むことができる。ありがたいことである。

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