漫画「タオの城」ネタバレ感想!混沌したスラム街で逞しく生きる少女が魅力!

タオの城

筆者がだいぶ前からハマっている作家のひとりがこの板倉梓である。

というか、紹介するのは初めてだったろうか。どうやらそのようである。

漫画「タオの城」あらすじ

どことも知れない国(とはいえアジアっぽい。日本ではない)、どことも知れない街。闇と混沌に包まれたそのスラムは、「百窟城(ひゃっくつじょう)」の名で呼ばれていた。

主人公の青年、孔明(こんな名前だが肉体派)は、この百窟城で、アイス売りをしているタオという少女(といっても17歳くらいだそうだが)と出会う。

全一巻で綺麗にまとまった作品なのだが、いちおうは各話完結のショートエピソードが数話と、百窟城の取り壊しのエピソードで成り立っている。

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タオの城

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漫画「タオの城」ネタバレ

孔明はミミヨという、百窟城で「管理人」をしている気のいい中年女性に連れられて百窟城にやってきた。そしてアイス売りのタオと出会ったわけであるが。

ミミヨは実はあまり評判がよくない。素性の怪しい若者を連れ込んで勝手に管理人の仕事をさせているとか、人殺しの夫がどうだとか、なんだか色々言われているし、タオとも必ずしも仲がいいわけでもない。

タオはアイス売りだが、他にもいろいろな細かい仕事をしている。ただ、スラムなので売春婦も珍しくはない百窟城にあっては珍しく、そっちの方の仕事はしていない。

さて。孔明の仕事だが、まず「管理人」というのが曲者である。いちおう給料はもらっていて、それは住人の家賃から出ているらしいのだが、そもそもここはスラムなのである。ちゃんとした管理などされてはいないし、家賃など払わず勝手に住み着いている住民も多いのだ。

管理人室と称して孔明が滞在している部屋には各室の鍵と称されるものがあるのだが、それも古いもので、もう付け替えられて合わなくなってしまっているものも多々ある。

物語はスラムの人間模様を中心に描かれる。

人情ものの話がいくつかと、暗い話がいくつか、兄妹の妖しい関係を描いた掌編などもある。孔明が売春窟に連れ込まれる話もある。タオのことが好きだからやめておくと言い張るのだが、娼婦の方も強情で聞かない。ところが偶然にタオに見つかってしまう。そこでタオが怒ったところからして、どうもタオも孔明に対してまんざらではないらしい。

さて、そんなこんなの日々を過ごすうち、結局百窟城は取り壊されることに決まった。

取り壊しの直前、人も減ったスラムで、タオは孔明と一緒に探し物をしている。タオの父親が死ぬ前に言っていた、龍の道が見える部屋について、である。結局、百窟城のとある部屋から見える景色が道のようなのだが、実は道は(中国語で)タオと読むので、タオにとっては大切な思い出話なのだとか、そういったような話だ。

その後、タオはそっけない態度を取りつつも、孔明と付かず離れずの関係を続けているらしい、というのが描かれて物語は終わる。

漫画「タオの城」感想

タオの城

筆者が板倉梓という作家を初めて知ったのは『蝴蝶酒店』(ホテル・ウーデップ)という作品においてである。この作品は単行本になっていない。同人誌は出されているが、それを紹介するのはやめておく。

ただ、それの雰囲気が『タオの城』によく似ているのだ。怪しげなアジアの貧しい国、貧民窟、といったようなモチーフが。

板倉梓という作家は、まったく異なる二つの作風を持っている。ホテル・ウーデップや、タオの城などのような、どこか暗く悲しい雰囲気のある物語。もう一つは、ほのぼのとした家族ものなどの作品である。

筆者が好んでいるのははっきりと前者の作風である。一巻完結でその世界に触れることができるという点で、『タオの城』はなかなかおすすめのできる作品だと思う。


タオの城

タオの城

原作・著者板倉梓
価格600円(税別)

街の最果てにある巨大な居住地…人々はそこを“百窟城”と呼ぶ。謎めく人々が住む、迷路のようで廃墟のような“百窟城”という名のスラム。そこで暮らすエキゾチックな美少女・タオ。怪しい関係の兄妹、映画女優、売春宿の女たち…。神出鬼没なタオと、不可思議な住人たちのお話―――。

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