シナリオ忠実度99%!画力も最高!漫画「キノの旅 the Beautiful World」ネタバレ感想

キノの旅(1)

キノの旅』である。

天下の電撃文庫の大看板作品の一つで、十何年も刊行が続いていて、累計発行部数800万部超、アニメ化も複数回に渡るが、実は本編の正式なコミカライズはこれが初めてであるというからちょっと驚きだ。

キノの旅(1)
作品名:キノの旅 the Beautiful World(1)
作者・著者:時雨沢恵一 / シオミヤイルカ / 黒星紅白
出版社:講談社
ジャンル:少年マンガ

漫画「キノの旅」あらすじ

キノは旅人である。エルメスと名付けられたモトラド(注:二輪車。空を飛ばないものだけを指す)に乗って、諸国を渡り歩く旅をしている。

キノは、少年のような姿をしているが、実際には女の子である。元々の出身は、第1話の舞台である通称「大人の国」。12歳の誕生日の直前、国の掟を破って、旅に出た。

漫画「キノの旅」ネタバレ

大人の国

この物語の主人公のキノという名は、親が付けた名ではない。元の名は原作でもいまだに非公開で、「×××××」とだけ記述される。何か花の名前で、読み方を少し変えるととても嫌な悪口になるらしい。

少女が11歳の時、キノという旅人の青年が、彼女の国にやってきた。少女の家は宿屋であったのでそこに泊まっていたのだが、国の掟を破った少女が殺されるということになったとき、青年キノは少女を庇って身代わりに殺されてしまう。

少女は、青年キノがたまたま入手して修理していたモトラドに乗って、故郷から逃走する。そして、その後自ら「キノ」を名乗るようになるのである。

人の痛みが分かる国1/2

「大人の国」の話から、ずっと先。いっぱしの旅人になっているキノが、とある国に辿り着く。大きく、立派な城壁があり、文明と機械化の進んだ国である。

だが人が出てこない。人がいないわけではなく、気配はあり、実際に人間は住んでいるのだが、旅人の前に姿を現さないだけではなく、家と家の距離が異様に離れていて、同じ国の住民同士も交流をしていないようなのだ。

キノは、ようやく家の外にいる一人の男性と遭遇し、声をかける。男性は尋常でない驚きを見せる。そして言う。

「君、まさか……私の思っていることが、分からないのかい?」

人の痛みが分かる国2/2

男の口から、この国がどういう国であるかが語られる。元々文明の進んだ、豊かな国であった。ある日、人間をテレパスに変える薬が発明され、ひとびとがお互いに分かり合えるようになる時代が到来したという祝福のもと、全国民がそれを飲んだ。

そして、お互いの考えが全て知られてしまうディストピアと化した国は事実上崩壊し、その後は機械の文明に頼って、以来十年、ひとびとは離れあって暮らしているのだという。

男はキノに「ここで暮らさないか」と誘いかけるが、あっさり断られ、キノは再び旅立ってゆく。

レールの上の三人の男

キノは旅の途中、森の中に伸びる廃線路を見つけた。その上を走っていくと、一人の老人が、線路の修復をしている。50年前に故郷の鉄道会社に依頼を受け、以来ずっと線路の修復を続けているのだという。

綺麗になっている線路の上を走っていくと、今度は別の老人が、ピカピカの線路を取り外している。50年前に故郷の鉄道会社に依頼を受け、以来ずっと線路の撤去を続けているのだという。

線路がなくなっている走りにくい地面を走っていくと、また別の老人が、新しい線路を敷設している。50年前に故郷の鉄道会社に依頼を受け、以来ずっと線路の敷設を続けているのだという。

これで終わり。シュールな短編である。

漫画「キノの旅」感想

キノの旅(1)

まず、「わかる人にしかわからない話」をするが、『キノの旅』の名物たる「あとがき」がちゃんとある。原作者・時雨沢恵一によるあとがきである。まあ、普通の文章で書かれた普通のあとがきであるのだが。

さて。このコミカライズは、限りなく極めて原作に忠実なコミカライズである。シナリオ面での忠実さは純度99%くらいだ。エピソードの収録順は小説版とは異なるが。

しかしそれより何よりこのコミカライズの特徴として挙げるべきは、画力である。絵がうまい。背景の書き込みも半端ない。あと、キノが凛々しい。

原作のキノはボーイッシュではあるが、イラストによっては服の上からでもはっきり分かるくらい胸があるように描かれていたり(そうでないイラストもあるのだが)もする。しかしこの漫画のキノは、それはもう見事なまでにぺったんこである。そして二度言うが、凛々しい。多分等身も原作挿絵よりちょっと高いのではあるまいか。

話自体は大昔に読んだことがあるものなので(筆者は原作を全巻読破済みである)、物語自体に対する感想というのはいまさらあまりないのだが、まず、1巻の収録エピソードは落ち着いた逸話が多い。

狙っているのか、偶然なのか、キノがパースエイダ—(この世界における銃器の呼称)を使う話が一つもない(キノは銃の達人である)。

キノの旅という作品は各話完結型の短編の集まりなので、今後どういう方針でエピソード選択をしていくのか、ちょっと興味のそそられるところではある。

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キノの旅(1)
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