シオミヤイルカ版キノの旅、3巻である。
ちなみにもう一つ、郷版と呼ばれる別の漫画家によるコミカライズ版も存在するわけであるが、そちらはまだ既刊1巻のままだ。
漫画「キノの旅」3巻あらすじ
キノは旅人である。エルメスと名付けられたモトラド(注:二輪車。空を飛ばないものだけを指す)に乗って、諸国を渡り歩く旅をしている。
毎度毎度この一文を出すのは何故かと言うと、原作でもこんな感じ(正確に写しているわけではないが)の各話導入をするのがお約束だからである。
さて、今巻に収録されているのは、ショートエピソードを除外すれば「コロシアム」と名付けられた連作全4話、それだけである。ちなみに原作でいうと1巻単行本に収録されている、色んな意味で重要な作品だ。
何が重要かというと、キノと並ぶもう一人の旅人、『キノの旅』シリーズの副主人公とも言うべき美青年剣士シズはこの作品で初登場するからである。
シズが旅を始めるのはこの「コロシアム」というエピソードからなので、コミカライズに出るのかどうかはともかくとして、このエピソードはやっておかないとシズ編を出すのが(不可能ではないにせよ)かなり微妙に難しくなるというわけである。
さて、コロシアムというタイトルから推察はできると思うが、今巻はバトルシーンがメインとなる。2巻までで一発しか発砲していないシオミヤイルカ版キノであるが、今回は派手に撃ちまくっている。
漫画「キノの旅」3巻ネタバレ
コロシアム1/4
冒頭ではコロシアムでキノとシズが対峙しているシーンが描かれ、そこから時間は巻き戻る。まずは、旅をしているキノである。道がしっかりと整地されているのに気を良くして、モトラドのエルメスを景気よくかっ飛ばしている。浮かれてさえいる。こういうキノは今となっては珍しいような気もする。
さて、ある国に到着する。いい国だと噂されていて、キノにとっては以前から訪れてみたいと願っていた国である。ところが着いてみると様子がおかしい。何か政変があって、政治体制が変わったらしいのである(ちなみに、この『キノの旅』シリーズではこういうことは割とよくある)。
この国では、入国してきたすべての人間が強制的にコロシアムで、命懸けで戦わされるというルールがある。ちなみに拒否したら奴隷にされる。無法すぎる話に珍しく感情もあらわにブチ切れたキノは、コロシアムでの戦いに参加することを高らかに宣言する。
コロシアム2/4
1回戦から3回戦までが描かれる。一回戦の相手は鉄球をぶんぶん振りまわす怪力の大男。鉄球を繋いでいる鎖をキノに撃ち抜かれて切られてしまい、あっさり降参。2回戦は変な刃物を飛ばすピエロのような男。キノに刃物の上から銃で撃たれて悶絶、降参。3回戦の相手は奇妙な火炎放射器を使う男であるが、これも結局キノの勝ち。
コロシアム3/4
準決勝の相手はキノと同じく若いガンマンの女性。さすがに準決勝まで来るだけあって手強いが、どうにか降参させる。決勝戦の相手は、剣士。これがシズである。
コロシアム4/4
剣を持ってはいるが、これまで誰も殺していない(キノもそうだが)シズは、キノに降伏を持ちかける。だがキノは聞かない。「最後に派手に一人ぶっ殺してやろうと思ってるんで」と剣呑なことを言い出すキノに、肩をすくめて対峙するシズであるが、結局負ける(シズは強いのだがキノが強すぎるのである)。で、キノはシズを撃ち殺すと見せかけて、その真後ろにいた、この狂った競技を主催しているこの国の暴君を撃ち殺した。
そして、「王様が死んだんで新しいルールをボクが提案しますが、みなさん殺し合ってください。勝ち残った人が新しい王です」と言い残して、キノは去っていく。
漫画「キノの旅」3巻の感想
どうもこのシオミヤイルカ版は、人間の悪意とかそういう角度に切り込んだエピソードを拾ってくるのが好きらしい。
シオミヤイルカという作家の趣味なのか、編集方針なのか何なのか分からないが、ともかくそういう流れであるので、そういう感じのものとして楽しむのがよかろうかと思われる。
キノの旅 theBeautifulWorld
短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。1巻では「大人の国」「人の痛みが分かる国」「レールの上の三人の男」を収録。
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