竹本の失踪…自分探し編もスタートする「ハチミツとクローバー」第6巻のあらすじ・ネタバレ感想

ハチミツとクローバー(6)
ハチミツとクローバー(6)
作品名:ハチミツとクローバー(6)
作者・著者:羽海野チカ
出版社:白泉社
ジャンル:少女マンガ

ハチミツとクローバー 第6巻のあらすじ

まずは前巻の引き、山田が野宮に連れ去られるところから。

ざっくり書くと、山田さんが大トラと化し、やけ酒を飲みまくり、野宮がそれをなだめ、で一晩が過ぎてしまい、何事もなく帰ってくる。

山田がどうこうより、それをむやみやたらに心配している周囲の人の方が見ものである。

ストーリー展開上は、この巻から、このハチクロという作品の中でもとりわけ重要な位置づけを占める、竹本の「自分探し篇」が始まる。ある日、就職活動その他に煮詰まった竹本君は、ほとんど失踪同然に、あてどもない旅に出てしまうのだ。

ハチミツとクローバー(5)

ハチミツとクローバー 第6巻のネタバレ

ひとつ前提として、山田は成人女性である。頭の中身と周囲の扱いはともかく年齢的にはそういうことになっている。何があろうと自分でやったことの責任は自分で取らなければいけない立場のはずだ。

それを、周囲のみんなは、おっそろしく過剰なまでに、心配する。真っ先に心配するのは真山である。山田の身に(性的な意味で)何かあったからって何か文句を言うような筋合いの立場ではないと思うのだが、心配する。

で、周囲に助けを求めようとする。大変だ!とかなんとか、騒ぎにしようとする。

それを森田が止める。

「何か知らんが 言いふらすな もし本当に何かあったなら 山田が困るかもしれないだろう」

この時の森田は、「真面目な時の森田」の顔をしている。そして訥々と諭す。

「真山。お前は過保護すぎだ」

その通りだが一つだけ言いたい。

それはお前もだ森田よ。

ちなみに、野宮は、山田を観覧車と一緒に観覧車に乗る。なんてこともない行動のように思えるかもしれないが、そうではない。野宮にとって、観覧車に乗る、というのは、彼自身の中では特別な意味を持った行為なのだ。真山は前に本人に聞かされてそれを知っている。そして、理解する。

野宮は軽い気持ちで山田にちょっかいを出しているわけではなく、どうも本気であるらしい、と。以後も野宮と山田の交際は続くのだが、真山がそれを妨害しようとしたり、過剰に心配したりすることは、この一件を境になくなる。

さて、次に山田と森田の関係。森田が山田に説教をする。

「みんなお前ひとりのために 一晩中どれだけ心配したと思ってるんだ お前は 自分がどれだけ幸せな立場にいるか 分かっているのか」

山田はここで逆切れした上に号泣する。

「何よ 自分は一年も行方をくらませて 連絡ひとつ寄越さなかったくせに」

それはまったく事実であるので森田も反論はしない。山田の手を握り、優しく慰め、そして手を繋いだまま、家まで送っていく。

この二人の間には恋愛関係はない。互いを男女と意識するシーンはかけらもない。そもそも、山田が好きなのは真山であり、森田が好きなのははぐである。だが、森田の山田への優しさは、ちょいと常軌を逸した域にある。無理やりいえば「兄のような」立場だが、こんなダダ甘な兄、普通いないだろう。

変人ぶっているが、森田という男は、根っこではアガペー(無償の愛情)が深いのである。

さて、次に森田とはぐ。色気よりも芸術の二人組。はぐはちょっとした芸術上の苦悩を抱えている。森田はそれをはぐの描いた絵を見ただけで一瞬で理解するが、はぐの力になろうとはしない。はぐに優しい言葉をかけ、手を繋いで一緒に帰ったりもしない。

その代わり、花本先生のところに怒鳴り込む。「なんでアイツにあんな絵を描かせてる!?」と。「あいつのことをケアするのは、あんたの役目だろう!」と。

花本先生は、深い諦念をたたえたような目で、あとでひとりごちる。

「そうだな……オレの役目だ、とは、言わないんだよな、お前は……」

ハチミツとクローバー 第6巻の感想

帰ってきたとたんに縦横無尽に活躍している森田がすごい。ちなみに、この巻の終盤で、森田はまた渡米してしまう。ピーター・ルーカス監督の新作、『ラスト・ブシドー』の制作のためだ。もっとも今回は、そう長くもなく帰ってくるのだが。

なお、ルーカス監督というキャラクターは、まったくの脇役であり、台詞すらろくにないが、森田に「ここの演出はこうするべきだ!」と言われた時のリアクションが「ファイナルアンサー!」。変なオッサンなのだが、なんか愉快な人なので筆者は好きだ。あと、すごい人なのにおどけてばかりいる、というのは、もしかしたら森田と似たタイプなのかもしれない。出番が少なすぎてその内面までは分析できませんが。

ちなみに竹本の自分探しの旅開始のきっかけは、「苦労の末にようやく就職が決まったと思ったら、就職祝賀会をいつものメンツでやっているところに電話がかかってきて、その会社はつぶれたと聞かされた」というもの。気の毒すぎてかける言葉もない。まあ、そりゃ、失踪のひとつもしたくはなるわな。

次巻は実質的に竹本が主役となる。というわけで、本巻はここまで。

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