迷信や言い伝えが現実のものとなる不思議系ホラー漫画「火葬場のない町に鐘が鳴る時」。
数々の本の中からパッとこのタイトルが目に止まり、一体どんな内容なのだろうと不思議に思った。火葬場?鐘?これがこの本を読むきっかけだった。全く想像がつかないから面白い。
読めば読むほど不思議さが増してくる。そして次第に点と点が結ばれていく。一つの謎が解かれたと同時に新たな恐怖が襲ってくる。
何度も恐怖心を掻き立てるそんな作品だ。
- 作品名:火葬場のない町に鐘が鳴る時(1)
- 作者・著者:和夏弘雨 / 碧海景
- 出版社:講談社
- ジャンル:青年漫画
漫画「火葬場のない町に鐘が鳴る時」1巻のあらすじ・ネタバレ
主人公「勇人」は父親の仕事の転勤で、東京から山奥にある人口約6000人の町「みとず町」に引っ越してきた。実は、この「みとず町」は勇人が生まれ育った町である。みとず町で生まれ東京に引っ越すまで育った町だ。
この町に戻ってこれたことは、勇人にとって凄く嬉しいことだった。何故なら、この町には幼馴染の「咲」がいるからだ。
期待に胸を膨らませ咲の家を訪ねるが、かつて家があったその場所には大きなマンションが建っていた。もう咲には会えないのだろうかと落ち込みながら歩いていると火災現場に遭遇する。
そして、燃えている建物の屋根に人影を発見する。その人を助けたい勇人は、受け止めるから飛び降りろと叫んだ。
この時、屋根から飛び降りてきた人物はなんと咲であった。
再会を心から喜ぶ勇人であったが、ポッポポッポと鳩時計が夕方6時を伝える時報がなる。そして咲の表情が険しくなった。そして、間もなくゴーンガーンと不気味な不協和音の鐘の音が町中に鳴り響いた…
勇人がいなかった10年間にみとず町で何が起こっていたのか…
勇人にとってみとず町は、咲との楽しい思い出がたくさん詰まった懐かしい故郷。しかし、10年ぶりに帰ってきたその場所は勇人の知らない町になっていた。
子供の頃から大人たちに「日が暮れる前に帰りなさい」と言われていた事がある。
三途洲山(みとずやま)には冥奴様(めいどさま)という妖怪がいて、いつもみんなを見ている。良い子は冥奴様に守られ、悪い子は冥奴様に食べられる…。日が暮れても遊んでいる子供は冥奴様に連れていかれるよ…。
どこの地域にでも、このような昔話的な言い伝え・迷信はよくある事だ。
勇人も、大人たちが言う事を聞かない子供を脅かすためのただの迷信だと思っていた。だが、実際は違っていたのだ。それは勇人だけが知らない現実であった。
夕方6時に怯える人々、咲の父親の死、謎の数珠、脳にまで突き刺すような鐘の音、ピラミッドのような山、火葬場が存在しない理由…
この謎が徐々に明かされていく…。
この漫画、実は1巻だけ読むと「う〜〜〜ん」といった感じなのだが巻を追うごとに展開が面白くなっていく。また画力が上がっていくのだ。人間ドラマも丁寧に描かれており物語の核心に迫るまで時間はかかるが読むほどに味が出て来る漫画に仕上がっている。