究極の毒親の魅力が凄まじい!押見修造の新作漫画「血の轍(わだち)」ネタバレ感想

血の轍

なんか凄まじい漫画に出会ってしまった…。

この漫画は「毒親」をテーマに描かれていく作品。まず毒親とはwikiによると過干渉やネグレクト(育児放棄)などによって毒のような影響を子供に与える親のことらしい。

血の轍に出てくる親はネグレクトではなく過干渉寄り。もう怖いくらいに過保護なのだ。1巻はなんてことない日常が描かれる場面が多い。そして言葉も少ない。それでも引きつけられて先を読まずにいられない。心がざわつき次から次へとページを捲ってしまう。

この漫画は凄い…妙な妖しい魅力を持っているのだ。

主要人物を簡単に説明すると母と息子。長部静一と静子だ。後々に重要人物となり得るのが静一が想いを寄せている同級生の吹石といった女性だろう。ちなみに静一は中学生だ。

この漫画の宣伝動画もありました。静子の怖さがわかる動画です。
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漫画「血の轍」ネタバレ

淡々とした日常に描かれる母と息子の妙な関係性

静一の母である静子が凄い(小並感)
中学生になった息子:静一に対して恋人のような微笑みを浮かべたり、本来、中学生男子なら嫌がるだろうが髪をなでたり、ベタベタと体に触ったり。

そして、静一と接している時の静子は妙に妖艶なのだ。当然だが静子に夫がいる。しかし、静一に向ける素顔は母親ではなく1人の女のような表情といった感じ。

第1話を読むだけで静子といった毒親にもっていかれる人は多いだろう。妖艶ながらも奥底に触れてはいけない雰囲気を醸し出しているのだ。

基本的に1巻は淡々とした日常風景が描かれる。本当に淡々と。で、中盤から終盤にかけて読者を「はっ…」とさせるような出来事が起きていく。

夏休みの山登り中に起きる惨劇…

日常生活が描かれていき、静一が夏休みに入る。ちなみに長部家には頻繁にいとこである「しげる」が遊びにくる。静一と同い年なのかな。2人はとても仲が良い。この2人のやり取りの中で静一が静子に毒で侵されている場面を垣間見ることができる。

後、静一が想いを寄せているであろう同級生:吹石と少しばかり接近する形に。吹石と静一は今度、自宅で遊ぶ約束をすることになる。

さぁ、そして山登りだ。
ここも本当に日常的な風景が描かれる。ふぅふぅ言いながら山を登ったり、見晴らしの良い場所で昼食をとったりなど。ここでは静子の静一に対する過保護ぶりがいかんなく発揮される。

崖に近づこうとすれば袖を掴み「気をつけて」の一言。しげるに背中を押された静一に対して抱きついて守ろうとするなど異常な静一への愛情が伝わってくる部分。

そして、休憩中。
しげるが山の中を探検しようと静一を誘う。2人はひと気のない崖に辿り着く。また背中を押されると思った静一はしげるに近寄らない。崖の先端で静一を手招きするしげる。そこへ背後から静子が現れる。

しげるがふざけていると足を滑らせて崖から落ちそうになる。そこを先程の静一と同じように抱きしめ崖から落ちそうになる、しげるを守る静子。

問題は次の瞬間だ…
静子は崖からしげるを突き飛ばす。

このやり取りに数ページ使われているが静子の表情が見えないのが怖い…。この場面は本当に息を呑んだ。心の中で「えっ…もしかして?」と思ったがページを捲っていくと現実になった。

全てを見ていた静一は嘘をつく

静一はしげるが崖から落ちる全ての事情を知っている。しかし、駆けつけたしげるの親や自分の父親に嘘をつく。静子も口からでたらめを言う。しげるがふざけて足を滑らせて落ちたと…。

静一、静子以外はしげるを助けようと山を降りていく。二人きりになると静子は静一に抱きついて一言。

「静ちゃん、ぎゅってして…」

静一の腕も母の腰付近を抱きしめて1巻は幕を閉じる。

漫画「血の轍」感想

血の轍

もう、絶対に続刊も買う。
1巻は日常風景メインだが、そんな中に静子の狂気が入り混じっているのがわかるほど。恐らく吹石を巻き込んで事件が巻き起こっていきそう。とことん暗くて深い闇に突き進みそうな漫画。サイコサスペンス好きなら必見の漫画です!

押見修造先生の漫画は「漂流ネットカフェ」「ハピネス」を読んだことがありますが、皆、女性が妖艶な雰囲気を醸し出しているんですよね。中でも血の轍の毒親である静子は秀逸。

これ、実写映画化もしくはドラマ化されるんじゃないか…なんて1巻で思えるほど凄まじいポテンシャルを持った漫画です。

気になったら絶対に買いの一冊。是非!


血の轍

血の轍

原作・著者押見修造
価格648円

「惡の華」「ハピネス」「ぼくは麻理のなか」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」など、傑作を次々と世に送り出してきた鬼才・押見修造氏が、ついに辿り着いたテーマ「毒親」!母・静子からたっぷりの愛情を注がれ、平穏な日常を送る中学二年生の長部静一。しかし、ある夏の日、その穏やかな家庭は激変する。母・静子によって。狂瀾の奈落へと!読む者の目を釘付けにせずにはおけない、渾身の最新作!!


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