手軽にファンタジー世界を味わえる漫画「空挺ドラゴンズ」1巻の内容やネタバレ感想

空挺ドラゴンズ

天空を駆け、龍を狩る者たち。人は彼らを“龍捕り”(おろちとり)と呼ぶ。

漫画「空挺ドラゴンズ」1巻のあらすじ

クィン・ザザ号は、今ではその数も少なくなった捕龍船である。特定の係留地は持たず、捕えた龍を解体し、その油を搾り、肉を喰らいながら、各地の空を放浪する。これは、そんな漂泊の暮らしを送る、龍狩人たちの物語である。

空挺ドラゴンズ
作品名:空挺ドラゴンズ(1)
作者・著者:桑原太矩
出版社:講談社
ジャンル:青年マンガ

漫画「空挺ドラゴンズ」1巻のネタバレ&感想

さて。率直なことを書こう。この作品、評価が割れる。それも、「こういうのが苦手なタイプにとっては駄目」とか「好みが合うかどうかが分かれる」とか、そういうことではない。

有体に言って、駄作だと断じる人間が少なくない、ということだ。もっとも、この作品が好きだ、という意見もそれはそれで、一定数存在する。筆者はどちらの意見に与するか?それはこの先で述べたいと思う。

まず。

この作品はハイ・ファンタジーの一種である。明らかに現代の地球ではない異世界のような世界が舞台だ。ただ、何しろドラゴンが空を飛んでいるくらいだからファンタジー的ではあるが、内燃機関、銃火器などが存在するタイプのSFファンタジーである。クィン・ザザ号にしても、詳述はされないのだが魔法などではなく内燃機関で飛んでいるように見える。

物語そのものは単純だ。龍を狩る。街に降り、龍の肉、油、これらを高く売る。もっとも、船の運用コストも馬鹿にはならないので、クィン・ザザ号はあんまり儲かっているようではない。

一つの問題について触れる。龍、ドラゴンについてである。

この世界のドラゴンは、空を飛ぶ。ごく稀な例外を除くと、巨体である。だが、知能、戦闘能力、いずれも、さほど高くない。さほど強力でもない武装で狩ることができる。

よく分からないのは、この世界のドラゴンとはどういった生き物なのか、ということである。まず外見が多様だ。いわゆるトカゲ系の、西洋風のドラゴン然としたドラゴンもいるが、なんだかグロテスクだったり、脊椎動物なのかどうかさえ疑わしいようなドラゴンもいたりする。ただ、どのドラゴンも獲物になることに変わりはないらしい。

捕龍という営みの描写は、全体的には捕鯨に似ている。

というか、厳しい言い方をすれば、捕鯨に似た何か、という以上の描写から脱し切れていない、ということだ。

油を搾る、というのが、いかにも捕鯨的だ。かつて、捕鯨は、主には蝋燭などの照明器具に用いるための油を目当てに、世界的に広く行われていた。

だがこの漫画は龍を狩る漫画である。龍を狩る、油を搾る、龍の油は高く売れる、それはまあいいが、それで他には何かないのか?という話なのである。肉は食べる。それも分かる。

だが、それ以上の、龍からしか採れない貴重なマテリアで、まあ何でもいいが工芸品を作るとか、マジックアイテムを作るとか、そういう掘り下げが、少なくとも現状では描写されていない。

惜しいのである。筆者は、この作品は少なくとも構想段階のプロットとしては悪くないと思う。世界観をもう少し掘り下げることができれば、化けるのではないかと思うのだ。

この作品を酷評する意見を見ていると多いのは、オリジナリティがない、という点への批判である。

筆者も、それを強くは否定しない。まあ、具体的にどの作品にどう似ているという話はここではしないが、どこかで見たようなデザイン、どこかで聞いたような台詞回し、確かに少なくない。

だが、筆者は、この作品が全体として持っている幻想的な雰囲気が嫌いではない。

話が逸れるが、筆者が好きな、とあるアメリカンコミックス・ライターの言葉で、こういうのがある。『スーパーマン』のコミックスの、筋書きを担当していた彼に、インタビュアーが言った。

「スーパーマンの物語はマンネリではないかという意見も多く見られますが、どう思われますか」。

ライターはこう答えた。

「そうだね。それを否定はしない。斬新なプロットや、壮大な構想の物語には、それに相応の価値があるだろう。ただね、そういった作品は、読者の側が、十分に既に沢山のコミックスを読んでいる、ということを前提としているんだ。だけど、僕の書くスーパーマンを手に取る少年にとっては、それが生まれて初めて読むコミックであるかもしれない。僕は常に、それを意識して物語を書いているんです」。

如何であろうか。

作品の価値というものは、一本の尺度上で測れるようなものではない。読書という行為は、作品と、読み手との、対峙でありまた対話なのである。読み手の立場、考え方、嗜好、ありようによって、作品の価値というものはいかようにも変化するものなのだ。

『空挺ドラゴンズ』は、味付けが薄いかもしれないが、想像力を刺激する何かを持った作品だと言うことができる。

一つには、この先味付けのアレンジ次第では、もっと化けるかもしれない。
そしてもう一つには、このままでも、手軽に異世界情緒を味わえる作品としては、そこそこ悪くない。

それが筆者の評である。

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